ふたつの世界を行き来した男のドキュメンタリー

映画

自分の存在が世間に全く知れ渡っていない世界と、自分の存在が世間に広く知れ渡っている世界を行き来した男がいる…と言われて、どう思うだろうか?

その男は、存在の知れ渡っていない世界に長く住み続け、存在が広く知れ渡った世界へ時々顔を出しに行く…という人生を今も送っているのだそうだ。

そんな男のドキュメンタリー映画がある…としたら、興味を持たれるでしょうか。

この話が事実なのかどうか、それは私には確かめようがない。しかし、ドキュメンタリー映画は実在し、その数奇な人生を歩んだとされる男も存在するらしい。

数奇な人生…という表現は間違っているかもしれない。映画の中で、当の本人はネガティブに受け止めてはいないようだ。あくまでも外野(つまり私)の受け止め方である。

その男というのは“シクスト・ロドリゲス”(Sixto Diaz Rodriguez)。アメリカ、ミシガン州・デトロイト在住。

ウェブサイトもある。
Rodriguez – Music

ロドリゲスが1970年代前半に発表したアルバム“Cold Fact”は、当時のアメリカでは全く評価されなかったらしい。

しかし、このアルバム“Cold Fact”は、アパルトヘイト(人種隔離政策)真っ只中であった南アフリカ共和国へと渡り、反アパルトヘイト闘争のシンボルソングとして収録曲の「Sugar Man」は、支持を集めた。(…らしい)

シュガーマン…といっても“砂糖の男”ではない。SWEET MARY JANE(女性ではなく…)やCOKE(コーラではなく…)同様、隠語。

アルバム“Cold Fact”は海賊版として推定50万枚は売れたらしく、当然現地では時の人となっていた。しかし、情報は全く入ってこない。しまいには自殺した…というデマがわりと本気で信じられていたのだそうだ。

ロドリゲスをデビューへ導いた人たちと、ロドリゲスが生きていることを確かめようとした人たち、そしてロドリゲスの家族を中心にインタビューを収めているのが、映画“シュガーマン 奇跡に愛された男”だ。

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私は自宅で映画を観る時、早めに床について観る。

正直な話、はじめてシュガーマンを見た時、すぐに寝てしまったw

冒頭は、海岸線を走る車からの景色とともに表題曲“シュガーマン”が流れている。いや、誰か一緒に歌っている(笑)

歌っているのはロドリゲスを遠くアメリカから南アフリカまで連れてきた関係者の1人だ。彼の話からインタビューのオンパレード。

で、早々に眠ってしまった。

次の日、再び頭から観た。

やっぱり表題曲“シュガーマン”を歌っているw

で、数人のインタビューでロドリゲスがデビューする辺りの事が語られる。

インタビューとロドリゲスの音源の繰り返し。

ロドリゲスの歌に触れ、彼の人生が語られ、奇跡へと導かれる。

奇跡の体験をしたロドリゲスという人は、質素で堅実で謙虚でシャイらしい。そんな人が歌う歌は決してメッセージソング的なものではない。なのになぜ海を渡って、アパルトヘイトに苦しむ多くの人が共感するようになったのだろうか。

発売されたアメリカでは鳴かず飛ばずだった歌が、遠く海を超えて、エルビスを凌いで認知されているのだそうだ。

当時、現地の人にしてみれば「エルビスがやっぱり生きてたらしいよ!」という話より衝撃的に受け止められたらしい。(エルビスの生存は確認されていませんw)

私にしてみれば「ブルース・リーがやっぱり生きてるらしいよ(生きていないはず)」と聞いたときの衝撃…といったところでしょうか。

南アフリカで人気をジワジワ広げているその時、当の本人(ロドリゲス)は、幸運の女神の後ろ髪に手が届かなくなっていた頃で、再び以前生業としていた仕事に復帰していくのだった。

朝から晩まで汗水たらして働き、休日には子供を連れて美術館巡りをしたり、ギターを弾いたりして過ごしてきたところに舞い込んだ衝撃の事実。ロドリゲスはどう受け止めたのだろう。

娘さん達やロドリゲスを南アフリカへ呼び寄せた関係者達の言葉からは、当の本人だけ変わらなかった…と言っている。周りの人の人生は大きく変わったのに。

周りの人にはいたってマイペースな態度に見えていたらしい。浮かれることもなく、沈むこともなく、ただいつもどおり話し、いつもどおり歌を歌う。売れようが売れまいが自分は自分。

本当にそんな受け止め方出来るものなのだろうか?

海賊版として売れてしまった音源の売上はロドリゲスには入ってこない。コンサートツアーで訪れたギャラは、家族や友人と分け合ったという。そしてロドリゲスは仕事をやめることなく、当然移住することもなく、それまでの暮らしを変えずに過ごしたのだそうな。マジかw

まとめ

ロドリゲスのウェブサイトは実在し、このドキュメンタリー映画もある。

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なんならアマゾンプライムでも観ることが出来る(執筆時は有料作品)
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ドキュメンタリーちっくな映画なので、映画…といいましても、好き嫌いが分かれる手法だと思います。

ただ、得られるインスピレーションも少なくないか…と思います。

また、アコースティックギター1本で創ったと思われる歌が、こんなカタチで世界中を飛び回ってくれた…という事が、事実・創作を抜きにしても嬉しかったりしました。

アコギ1本の弾き語りには、こんなにも夢が詰まっているんだ!と。

でわでわ

Special Thanks

この映画の存在をYoshiyuki Endoさんに教えて頂きました。

いつも素敵な情報をありがとうございます!

加筆です – 2018/12/30

映画の情報元であるYoshiyuki Endoさんから、新たに重要な情報をいただきました。

というのも、この映画の内容を現地に確かめに行った人がいたらしい…と。

その様子がサイトで公開されておりましたので、リンクを置いときます。
シュガーマン―ロドリゲスを探して南アで見つけたロドリゲスの足跡|地球の歩き方編集部・取材&日記

こちらのサイトによりますと、ロドリゲスはその後、アメリカ国内においてもツアーを廻ったらしい…ということは、このエントリーの冒頭から覆されることになるw
最終的にはどちらの世界でも有名な人になってしまった…ということです。

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