Waves Silver バンドルをご紹介。バンドルに含まれているプラグインエフェクターの種類、効果や特徴をそれぞれに解説。
購入時のワンポイントアドバイスもあるよ。(ワンポイントじゃなくなったけどねw)
バンドル内容一覧
まずはシルバーバンドルに含まれるエフェクターを効果の種類別に一覧にしました。
(ちょっと見にくくなってしまいましたので、クリックで別窓拡大表示出来るようにしてあります)
大雑把なくくりとしては4種類のエフェクター郡に分けられ16個のエフェクターがセットになっています。
ダイナミクス系
ダイナミクス系エフェクターというのは、音量の強弱をコントロールするエフェクターを挿します。「ダイナミックレンジが広い(狭い)」のダイナミックあたりから 来ているのではないでしょうか。
つまりは、飛び出して音の大きいところを抑えつけて、音量の乱れを整えたりなんか出来ます。指定した音量を超えるのを抑えたり、指定した音量よりも小さいものをより小さくしてしまったり、指定した帯域の音量の大きいところを抑え込んだり…などなどの効果があります。
効果の特徴を細分化して、コンプレッサー、リミッター、マキシマイザー、ディエッサー、エキサイター、エンハンサーなどがこのダイナミクス系のエフェクターに含まれます。
また、ディストーションやオーバードライブも、その音質変化の過程が音量レベルの過大入力…と、音量の調整から効果をもたらすことから、このダイナミクス系に入れる…という解釈もあります。(ここでは歪み系でいこうと思います…が、Silverバンドルに歪み系は含まれませんw)
C1 Compressor
クリアでタイトなコンプレッサー…いわゆるデジタルコンプの代名詞と言っても過言ではなかろうC1 Compressor。
C1 Compressorは4種類で構成され、それぞれにモノラルとステレオのコンポーネントが用意されている。
つまり「C1 comp」「C1 conp-gate」「C1 comp-sc」「C1 gate」の4種類にそれぞれステレオとモノラルがあるので、一覧に並べると8つ並ぶことになり求める機能に応じて使い分けることになる。
Renaissance Axx
Renaissance Axxはギターやベースといった楽器に最適化されたコンプレッサー。
パラメータも最小限に抑えられ、素早い操作で最適なコンプレッションを得られるように構成されている。
このプラグインもステレオ/モノラルと用意されている。
Renaissance Compressor
C1 Parametric Companderと、L1 Ultramaximizerの開発で培われた技術を採用し、シンプルに合理化されたコンプレッサー。
温かみのあるコンプレッションとアップワードエクスパンション機能の絡み合いがRenaissanceコンプ独自の効果をもたらすことから、現在も人気のモデル。
DeEsser
DeEsserは、歯擦音と呼ばれる耳障りな音を減衰させるプラグイン。
その仕組はコンプレッサーの原理を流用しているので、操作感はコンプレッサーに類似している。
男性向け・女性向けのプリセットがあらかじめ用意されているので、まずはそれらの設定を呼び出し、各パラメータの役割を確かめることでボーカルトラックを快適に整えることが出来る。
L1 Ultramaximizer
オーディオソースのデジタル化と共に、クリップ直前まで音量をあげられるようになったのは、このL1 Ultramaximizerの功績が大きいだろう。
Waves 25周年を機に刷新された新しいL1 Ultramaximizerは、2種類のUIを持ち、どちらの画面からも同じ機能が利用できる。UIの刷新時に加えられた下記の新機能ももちろん以前のUIから利用可能。
・トゥルーピークドメイン・リミッティング:インターサンプル・ピークによるクリップを抑止
・Automatic Release Control (ARC):リリースタイムを自動調整
空間系
やまびこや、大きい部屋や空間での音の跳ねっ返りを再現するエフェクターになります。主なエフェクターにリバーブやディレイと呼ばれるものがあります。
また、ここでは一括りにしてしまいましたが、コーラスやフランジャーといった音像の揺れを再現するエフェクターをモジュレーション系と区別する解釈もあります。空間系エフェクターの中の細分化されたグループとしてここでは進めていきます。
S1 Stereo Imager
S1 Stereo Imager はその名の通り、ステレオイメージを調整するプラグイン。
この手のステレオ感を調整するプラグインでは、事ある毎に位相のズレなどによる音質劣化を伴うものだが、このS1では位相保管機能をもたせることでそれらの劣化を最小限に抑えてくれる。
「Shuffler」「Imager」「MS Matrix」のコンポーネントで構成されている。
Doubler
このDoubelerは、ショートディレイを駆使して得られるダブルトラッキング効果を得るため専用に設計されたプラグイン。
繊細なピッチモジュレーション調整を可能にしたほか、デチューン、パン、ディレイ、EQ、ボリュームも調整可能。
Mono、Mono/Stereo、Stereoのコンポーネントに分かれている。
SuperTap
ディレイエフェクターであるが、空間を演出する加工ではなく、複雑なやまびこを作り出すことに特化したプラグイン。
最大6種類の設定を駆使して、もはや「やまびこ」の表現を通り越した空間演出が可能。
それぞれの設定ではEQ、ゲイン、ローテーション、タイムコントロールを調整可能。
「2-Tap」「6-Tap」の二種類がそれぞれMono、Mono/Stereo、Stereoのコンポーネントで構成されている。
Enigma
フランジャー・フェイザー機能に加えファイルター、ディレイ、LFOモジュレーションを駆使することで、想像を絶する効果をもたらす。
使い慣れるまでは出たとこ勝負的な音作りになるが、各パラメータを把握した後には、他のエフェクターには真似の出来ないサウンドを生み出せる。
MondoMod
AM(トレモロ)、FM(ビブラート)、ローテーション(パンニング)モジュールそれぞれにフェイズオフセットを設定することで、唯一無二の効果をもたらすプラグイン。
代理店サイトによりますとギターソロ向き…という記述がありますが、もちろんシンセのソロに被せても面白い!…はずw
TrueVerb
TrueVerbは初期反射と後部残響音を個別に設定することでナチュラルな空間を演出してくれる。
空間のサイズ、高温域成分の減衰、音源からリスナーまでの距離を設定可能。
IR-L Convolution Reverb
実在する空間で収集されたIR(Impulse Reseponse)データを利用することによってその場における音響を再現。
当然IRデータを元にパラメータを設定することで、更に必要なリバーブを実現。
購入後、WAVESサイトより莫大なIRプリセットがダウンロード可能。
→ Free Downloads | Waves
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音質補正系
主にイコライザーを指します。コンポなどについているトーンコントロールもこのイコライザーの兄弟のようなもの(Qカーブや帯域の変更ができないパラメトリックイコライザーと言っていいかと)。
ただ、Waves社のエフェクターにはイコライザーのようなUIを持たない音質補正系のもの(Silverバンドルでは「MaxxBass」がそれ)もありますので、それらはここに含めます。
Q10 Equalizer
最大10バンドのイコライザーではあるが、「1」「2」「3」「4」「6」「8」「10」と7種類のコンポーネントがそれぞれMono/Stereoと分かれているので、必要なバンド数、Mono/Stereoのコンポーネントを選ぶことでCPUへの負担も軽減することが出来る。
Waves25週年を機にUIの刷新とともに下記機能が追加された。
(旧UIからも利用可能)
・プロポーショナルQフィルター:ゲインに対し適切にQの値を可変させることが可能
・EQバンド・フォーカス機能:選択したバンドのみを表示し、素早くバンドごとの値を調整可能に
・倍精度処理:64bit精度での32bit浮動小数点処理に対応
Renaissance Equalizer
Q10が販売された後、開発されたことでよりアイデアの詰め込まれたイコライザーとなっている。フィルターカーブはアナログEQをモデルに採用され、デジタルのグライコ風を装っておきながら、アナログライクな補正を掛けることが出来る。
2,4、6バンドでコンポーネントが用意されているので必要なサイズを選ぶことでCPUへの負担を軽減可能。
またショートカットによる操作で効率化が図られているのも特徴。
MaxxBass
低音域に特化した音質補正プラグイン。特許申請されている技術が採用されあらゆる音源に連続した倍音を加え、低音域を強調する。
このMaxxBassを使用することで、あらゆるサイズのスピーカーが持つ低音信号の出力を最大化することが出来る。…らしいw
解析系
目に見えない「音」を数字やグラフに変換して表示してくれるもの。イコライザーなどに混載されている場合もありますが、ここではアナライザー機能に特化したものをまとめようと思います。
PAZ Analyzer
人の聴覚特性に基づいた最大68バンドのリアルタイムアナライザー。
帯域別の解析の他、位相・逆位相もグラフ化してくれる。
目に見えない音を、グラフ化してくれることで客観的に分析することが出来るようになる。また、解析結果をテキストファイルとして保存可能なので数値でも分析できる。
まとめ
Wavesのプラグインバンドル「Sliver」に含まれるエフェクター16種類をご紹介いたしました。
冒頭の一覧図をご覧いただければお判りいただけますが、このSilverバンドルはざっくり「ダイナミクス系」「空間系」「音質補正系」「解析系」の4系統に分けることが出来ます。解析系のグループには複数のプラグインが含まれており、これらを一度に手にすることで「どれから使おうか?」「どれが何やらさっぱりやんw」といった混乱をされるかもしれません。
しかし、これらのプラグインもじっくりご覧いただければコンプレッサーやEQ、リバーブというのは、役割がほぼ同じで使い分けることになるでしょう。
また、空間系に含まれるエフェクターはそれぞれ大きな特徴を持っており、つねにトラックに挿しまくりオン!という使い方の出来るものはリバーブくらいだと思います。
(これもバス・トラックに挿しておいて必要なトラックだけ送ることで挿しまくる事を避けられます)
これらを踏まえると、意外と手狭なバンドルといえます。
なので、このバンドルを購入する意欲にかられているのであれば、あともう一声、もしくはもう二声かけていただいて「GOLD」バンドルか、「PREMIUM」バンドルに目を向けていただきたいと思います。
ギターを弾かれる方であれば「GOLD」バンドルにはアンプシミュレータが含まれています。
また、このGOLDバンドルには、プラグインなどのソフトウェアではなく実物として存在していたアナログコンプやイコライザーをモデリングしたプラグインも含まれます。コンプやEQならGOLDバンドルにも含まれていました。しかし、クリアに加工できるデジタル処理だからこそ、アウトボードをエミュレートしたサウンドのヤスリがけが必要になってきます。そんな必要性にかられてから触れたのでは、その特徴を活かしたミックスをすることが難しい。できるだけ早いうちから触れておいて、その違いを耳になじませてほしいのです。
そして、PREMIUMバンドルに手を伸ばしていただければ、Renaissanceシリーズのプラグインが全て揃います。プロのエンジニアさんにも人気のこのRenaissanceシリーズを使いこなせるようになれば、一定の品質を確保出来る…といってもよろしいかと。(あくまでも使いこなせてこそ…です)
更にマキシマイザーの「L2」「L3」も含まれますので、EDMやハードなジャンルをされているならば、簡単に音圧を稼ぐ事ができるようになります。ある程度の曲数を抱えているのであれば、これで一応マスタリングまでまかなえるでしょう。(マスタリングは更に知識や経験が必要なので、いきなり自分で仕上げるのは厳しいかも…です)
こうした拡張性を踏まえますと、Silverバンドルに興味を持たれておられるのであれば、GOLD、PREMIUMバンドルまでは比較検討していただきたいと思います。
その先に控えるDIAMONDバンドルやHORIZONバンドルまでになってしまいましと、セットになっているプラグインの数が50を超え、プラグインの扱いに慣れていないうちは使いこなしに不安が残るのと、そんな不安にかける値段とのバランスが保てないと思います。(PREMIUMバンドルでも50近くになりますけどねw)
なので、ほとんどプラグインを使ったことのない方はSILVERではなく、GOLDバンドルかPREMIUMバンドルで検討していただきたい。
DIAMONDやHORIZONバンドルに手を出すのは、GOLDかPREMIUMバンドルを使ってみて、更に飛躍できるようになった時、手持ちのバンドルからのアップグレード価格で購入すれば無駄な出費を避けることも出来ます。
初めて買う時も、アップグレードで買う時も、必ずセールのタイミングを見計らって下さいね!