nana でもついに音量規制導入決定

DTM

スマホでつながる音楽コラボアプリでおなじみ nana でもついに音量規制が導入されることになったようです

YouTubeをはじめ、一部のウェブサービスではすでに導入されている音量規制

この度、2021年11月30日のアップ分(ウェブサイトからのみ)から音量制限がかけられるとのこと

その辺についてつらつらと

自動音量調整 – 詳細

2021年11月30日(火)以降(30日含む)、ウェブサイトからのアップされるファイルには音量のチェックが入り、-14.0 LUFS / LKFS を超える音量の場合、サービスサイドで音量調整が入るらしい

詳細はこちら
WEBサイトからの投稿における「自動音量調整」機能 導入について|nana

2021年4月に導入されたステレオファイルの取扱開始以降、過音量の作品が多く見受けられていたらしいです

nana へのアップされる音源は、その後、重ね録りを繰り返すコラボが前提だったりする

そんなコラボを行うにあたり、一発目のファイルが既にクリップ寸前まで収録されていると、次に音を重ねる際に歪みが発生してしまう

この現象を回避するために、今回の改善…ということでしょう

対象はウェブサイトからのアップ

DAWによる作業によって制作された音源は、コンプ/ リミッター・EQ・エキサイターなどのエフェクターを駆使することで音量を詰め込むことが可能

上記リンク先でも解説されていますが、ひょっとしたらアップされる音源ファイルに「みんな大好き海苔波形(笑)」が多かったのかもしれません(リンク先ではその手前までの波形で解説されていますがw)

海苔波形に至らなくても、波形の幅が上限スレスレまで届いていると、再生環境によってはノイズをもたらしてしまう事もあるらしい

その辺の事も含めてデジタルオーディオにまつわる詳しいお話は【 とーくばっく 】をご覧ください
【 とーくばっく~デジタル・スタジオの話 】のご案内|Studio Gyokimae

そもそもレコード時代の収録されていた音量はCDとは比べ物にならないほどに抑えられていた 〜 針飛びの原因にもなっていたらしいです

これはCDからですが、近年にリマスターされたものではない(と思われる)音源の波形です

ちなみにこれ↑は、VAN HALENのアルバム ” 1984 ” 収録の ” Hot for Teacher ” です

で、こちらは ” Michael Jackson ” の ” Thriller ”

で、最近の音源代表として LiSA ちゃんの ” Catch the Moment ”

こうして比較しますと波形上下幅の違いが一目瞭然

どちらが正しい!ではなく、業界全体がこういった方向へ雪崩を起こしていたんだと思います

ただ、CDといった入れ物を取っ払ったハイレゾ音源や、アルバム単位ではなく1曲単位で並べて楽しむストリーミングサービスが台頭してくるにつけ、楽曲ごとに違う音量差が見直されるようになってきた(当然動画サービスも含まれます)のでしょう

マスタリングエンジニアの小泉由香さんは2014年のインタビューで
ハイレゾ版『First Love』を西野正和さんと一緒に聴きながら

波形的に埋まっていないということは、空間も楽しめるソフトということだから。やっぱり奥行きとか、スカスカ感といった空間の余裕は、音楽には大切な余白なんです。


とおっしゃられています

このインタビューの中でも言われていますが、やはりどちらがいい!というわけではなく好みの問題であると

というわけでワシの好みは、ギザギザの残っている余裕のある幅の波形の音源を丁度いい音量に手元で調整する方

波形のギザギザを押しつぶす効果

波形のギザギザを抑え込むエフェクターがコンプレッサー / リミッター

コンプレッサーというエフェクターはEQにも負けず劣らずとても重要な機材で、CD・レコード、配信のみならず、テレビやラジオの音声にも利用されている

そのコンプレッサーの効きをキョーレツに強めたものがリミッター

音量にリミットをかけるからリミッターなわけです(ザックリいうとねw)

で、コンプ・リミッターをかけるとどうなるのか?

コンプもリミッターも効きの強弱は別として、指定した音量を越えた音に対して音量を下げる働きを持っている(ザックリいうとねw)

波形の幅の広いところを狭めて、幅の狭い波形との差を縮めるわけです

幅の広い波形を狭めた分、全体の音量を上げることができる

すると、それまで聴き取りにくかった小さい音が聴こえるようになる

この工程を巧く捌くと迫力のある音を作り出すことで出来たりする(出来ない場合もある)

この理屈で、デジタルオーディオデータとして収録できる音量ギリギリまで詰め込んだのが海苔波形ということです(だいぶ端折りましたがw)

巧くやるとブリブリのパッツンパッツンに仕上がるわけです

= – = – =

そもそもどうしてこんな波形の均衡化が必要なのか?

ひとつの理由としては、マイクを音の元の近くに置く事

例えばカラオケでマイクを使う場合、たいてい口元にマイクを持ってきますよね

これ、乱暴な言い方をしますとマイクを通してレコーダーに記録された音は、マイクの位置に耳を持っていって聴いている音と同じ

囁いてくれていれば聴いていられますが、普通の音量で喋られたり大声を出されようものならとてもじゃないが聴いてられない

人の耳が聴いていられないような大音量の音はレコーダーにもキャパオーバーの信号となる(繰り返しいますが極端な表現ね)

口元に耳を持っていって囁きからシャウトまで含まれているバラードを歌われても、最後まで聴いていられませんが、録音された音になると聴き終えることができる

これつまり、人の耳の許容範囲までバランス良く均衡化が施されているわけです(コンプすごい!)

この辺までが必要に迫られて……といいますか、品質管理としてのダイナミクス管理

あとはこれ以上の加工を必要なトラック(楽器)にだけ施すのか、楽曲全体に施すのか?という選択

さぁ、あなたはどっち!?

マイクの位置が耳の位置……これに気付くと音の均衡化がどれほど重要か、ピンッ!とくると思います……あくまでも理解を早めるための極端な表現ですがw

人の耳ってダイナミックレンジ(音の大小の差・幅)許容範囲が、結構狭いってわけです

-70dBの音を聴くのに丁度いい音量へ手元のボリュームを合わせたところで-1dBの音が急に鳴ってしまったら、鼓膜がおかしくなってしまうんじゃなかろか(絶対にやっちゃダメ!)

逆に言うと、音量差の狭い音源は強弱差によるストレスを感じなくて済むってことですかね?

一説によると人は大きい音ほどいい音!と感じる習性があるらしいのですが、ひょっとすると音量大小差のストレスからの開放が海苔波形の魅力につながっていたりするかもしれませんね……知らんけど(笑)

閑話休題

話が当初の方向からちょっとズレてしまいましたw

波形が幅いっぱいまで広がった音源と、波形の幅に余裕のある音源
可能なら同じ楽曲の波形幅違いを【同じ音量】(←これ重要)で聴き比べられると判りやすいのですが、幅いっぱいの音源よりも幅に余裕のある音源のほうが空間を感じられる事が多い(当然、幅広の曲でも感じられる場合はあります 〜 幅いっぱいの波形の中に埋もれた幅狭な波形の音も存在していますし、そもそも同じミックスの可能性もあり)

ライドシンバルを小気味よく刻んでいるシンバルの存在が感じられたり、スネアの裏側にあるスナッピーが目に浮かんだり、ジャズのようなジャンルではなく、そこそこ賑やかなロックバンドの音源でも楽器の存在感を空間ごと感じられる曲が多く見受けられます

もちろん収録する段階の仕事も重要ですが、しっかりと収録された素材をミックスで活かしたり殺したり出来ちゃうわけです

先程、人の耳のダイナミックレンジ許容量は狭いってお話をしましたが、だからこそ尚の事、空間を活かすミックスって微調整に微調整を重ねなきゃならない難しいものなんじゃないかな?と思うわけです

実際 nana にアップする音源をミックスする時は、毎度悩みに悩まされていますw

ちなみに、音の存在感や空気感、前後上下左右の空間などは慣れないとピンとこないかもしれませんが、打楽器など鳴ったり鳴らなかったりする楽器の音が鳴った時のプレッシャーは断然波形幅に余裕のある音源の方がズシッと来るハズ

だって波形に余裕がある音源の場合、それらの音は他の鳴りっぱなしの音より大きいエネルギーで鳴ってる(波形のギザギザの飛び出している部分)んですもの

それが好きか?ストレスに感じるか?は個人の判断になりますけどね(ストレスを感じさせずズシッとくるミックスが難しいわけです)

まとめ

nana が音量規制を導入する……ってことで、音量という要素について改めて見直すいい機会になりました

これまで nana には -15.0 LUFS(カラオケはここから声をミュート)でアップするようにしていたのですが、nana の規制の基準となるのは -14.0 LUFS

つまり基準より小さい音(カラオケに至っては大幅に小さい)音量なんですよね(ちょっと古い音源は -16.0 LUFS でアップしてました)

今後、アップする音源は歌入りを -14 LUFSにしていこうかと思います

YouTubeも今は -14.0 LUFS になってるぽいですしおすし

でわでわ

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