Aura Spectrum DI Preamp / FISHMAN

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FISHMAN社製 Aura Spectrum DI Preamp は、あると便利な機能をこの一台に詰め込んだ非常に多機能なエレアコ用プリアンプ。コンプレッサー、3バンドEQ、アンチ・フィードバック・スイッチやチューナーの他、FISHMANが開発したアルゴリズム(AURA)により、スタジオでマイク録りしたようなアコースティック・サウンドとアコギから出力された信号をミックスすることが出来る機能まで搭載されている。

これらの機能の詳細や使い勝手などをつらつらと…

Aura Spectrum DI の機能・構成

まずは Aura Spectrum DI を構成する機能を個別にピックアップしていきます。

3バンド EQ

3つの帯域を個別に調整できるEQが付いている。工場出荷時は入力されたギターの信号だけに対してEQがかかる設定になっているが、設定を切り替えることでAuraイメージもいっしょに加工することも可能。AuraイメージのみEQは出来なそう。

加工出来る帯域は以下の通り。
・ベース : ±12dB @ 70Hz
・ミドル : ±12dB @ 1kHz
・トレブル : ±12dB @ 6.5kHz

コンプレッサー

ワンノブコンプレッサーが搭載されている。ワンノブなのでDAWで使うコンプのようにレシオやスレッショルドなどを個別に設定することは出来ない。

ノブを右に振るほどダイナミクスは薄らいでゆき小さい音が持ち上げられる。アルペジオやストローク、単音弾きが混在するプレイスタイルには欠かせない機能。

コンプレッサーの効果を簡単に耳で確かめてみましょう。

コンプレッサーのノブをMinimum…Medium…Maxと3段階に切り替えて弾いてみました(E-A7-B7-Eのコード進行✕3✕2)
(コンプが強くなるほど音が大きくなりましたのでDAWの方で大雑把に音量を揃えています)

波形で見るとこんな感じ。

それぞれのかかり具合でギターを弾いていますので波形の形が揃っておりませんが(笑)、それでも余韻が持ち上がっているのはお判りいただけるかと思います。

アタックに関してはスレッショルドに届いていいないのかアタックタイムが遅めなせいか判りませんがそれほど潰されている感じにはなりませんでした。ピックでストロークしたりするともう少し大きい音になるので潰されるのか、やはり潰れないのでアウトプットを下げることになるのか、現段階では不明です。

クロマチック・チューナー

フットスイッチを踏むと起動するクロマチックチューナーが搭載。チューナー起動時、出力はミュートされるので余計な音を出さずにチューニングが出来る。ライブには欠かせない機能。(しかし、足元に置いたAura Spectrum DI のLEDが見えにくい人がいるかも)

黄色の枠で囲ったところがディスプレイになっていて、7セグで音名のアルファベットが表示されて微調整する感じ。

ディスプレイの光が隣のセグメントにはみ出すのでちょっとやりにくい感じですw

3点の周波数を設定可能なアンチ・フィードバック機能

最大3つのノッチ・フィルタを使用して、演奏中のフィードバックをコントロール出来るアンチフィードバック・フィルター搭載。フットスイッチで操作しながらハウリングポイントを検出するので、慣れれば一人で対応が可能と思われる。(まだ試したことがないもので詳細不明)

フィードバックの抑制に有効なフェイズ・スイッチ

バランスXLR DI出力および1/4インチ出力に送られる信号の 極性にも作用するフェイズスイッチが搭載。

この小さなスイッチを切り替えることで位相を反転出来ると思われます。

XLR 出力

標準的な1/4インチケーブルに加えてXLR 出力も装備。

レコーディング機材やSRミキシング・コンソールにシグナルを供給するには、標準的 なマイク・ケーブルをここに接続します。1/4インチの出力にも同時に接続すると、こ のDI出力のグランドは自動的にカットされ、不必要なグランド・ループを防止出来るらしい。

エフェクト・ループ

エフェクトループの挿入口が1箇所…。

つまりこんな感じのY字ケーブルを使って差し込みたいエフェクターのインとアウトに挿すんだと思われます。未確認です。

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その後、ちょっと調べ物していた時にサウンドハウスさんところでこのひとつ穴エフェクトループについて解説がされていました。
エフェクト・ループとインサーション・ケーブルの使い方 ~エフェクト・ループ用BOXで見える化してみた!~|サウンドハウス(AdLink)

Auraアコースティック・イメージ

Auraイメージの特徴

Aura Spectrum DI の目玉機能であるAuraアコースティック・イメージは接続されたエレアコのピックアップの音に、マイクで収録されたような音をブレンドして出力してくれるという魔法のような機能(最近は他社製品でも同様の機能が見受けられますが)。

取説によりますと、Fishmanアンダーサドル・ピッ クアップおよびマグネチック・サウンドホール・ピックアップとあわせて使用した時に威力を発揮するらしい。
Fishmanのオーディオ・ラボ ラトリーでの開発時にはFishmanのアコースティック・マトリックス・アンダーサドル・ピックアップが使用されているらしく、同じものを使うと相性バツグンとのこと。

注意として、コンタクトタイプのピックアップ/ブリッジプレート・ピックアップ/マルチセンサのピックアップやマイクは、Auraプロセッシングに干渉するためオススメされないとか。リトルマーチンのピックアップはこれに該当するのか?判りませぬw(LX1Eに搭載されているP.U.はFishman Sonitoneで、これはアンダーサドルピエゾピックアップらしい…やっぱりよく判らないw)

Auraイメージの利用に関してFishman社は取説の中で、接続したギターの素材やサイズと同じタイプのイメージを選択することを推奨されている。
しかし、Aura Spectrum DI にプリセットされているAuraイメージはなんと8✕16=128種類にもなる上、Aura Spectrum DI をネットに接続されたパソコンにつなぐことで付属するソフトウェア”AURA イメージ・ギャラリー”を使って更にAuraイメージをダウンロードしてユーザープリセットに保存して使うことが出来るのだとか。

とんでもない迷路の入り口に立たされてしまったらしい(笑)

Auraイメージ・リストのナゾ

Aura Spectrum DI の取扱説明書にはAuraイメージの一覧が掲載されています。

ところがこのリスト…よーく見てみると、同じ素材同じマイクの組み合わせが重複しているところがある。

試しにリストの12番目と13番目を聴き比べてみる。
Eメジャーコードを4ストロークおきにAuraイメージを切り替えて2回繰り返しています。
(No.12✕4ストローク-No.13✕4ストローク-No.12✕4ストローク-No.13✕4ストローク)

素人耳にもやはり違って聴こえる。これははたしてどういう意味なのだろう?リストが間違えている?それともリストは正しくて同じ素材の別モデルを同じマイクで収録している?…なんだかモヤモヤしてしまったのでFishman社の国内窓口に問い合わせてみました。

するとこんな回答が…

「それらは同様の木材を用いておりますが、異なったモデルのギターによって作られたイメージです。
またEQもそれぞれ異なっております」

とのことでございます。

材の組み合わせは同じでも、ギターそれぞれ個体の音が異なるように、
イメージバンクの音色も組み合わせが同じでも違う音色がイメージされているようです。
※モデリングの元となったギターの具体的な品名については、回答を得ることが出来ませんでした。

問い合わせ回答メールより引用
(転載承諾いただきました)

国内のご担当者様がわざわざ本国までお問い合わせしてくださいました。
(お手数をおかけしてすみませんでした)

マホガニートップはこんな音するよねぇ…とか、ローズウッドがバックだとこんな感じだよねぇ…なんて自分で判断できればこんな風に他人様の手をわずらわせることにはならなかったんですけどねw

ご担当者様、ご丁寧な対応をありがとうございました!

というわけで、同じ組み合わせであってもモデル違い…ということで心置きなくお話を進めていけます。

別売りアダプターについて

Aura Spectrum DI は、電源アダプターが別売りになっている。別売りになっている割にそこいらでFishman製電源アダプターの販売ページを見つけることが出来ない。(わざわざ探していないけどw)

そこで、人柱覚悟(と言う程でもないがw)でZOOM社のアダプターを試してみた。

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9V電池(006P) または 9V/25mA DCアダプターということであれば問題なく使えるのかもしれません。
ただし、時々プラスマイナスが逆で…という話も聞きますので、その辺はご確認ください。
その辺がクリア出来ればもっと安いのもあるんですよねwとはいえ、電源で音が変わったり…なんて話もありますし、こだわるならこだわりの電源で動かしてやって下さい。

Aura Spectrum DI の音

Aura Spectrum DI のAuraイメージってこういうことをデバイスひとつの中でやってくれているのよね?っていうのをわざわざマイク(SM57)を使ってやってみました。

実際にSM57の音をミックス


マイクとAura Spectrum DI の両方から同時に録音したものをオートメーションを書いて、まずはSM57のみの音、次いでSM57とAura Spectrum DI (BlendをMinimumに絞った状態)のミックス、そしてAura Spectrum DI 単独の音、最後に再びSM57とAura Spectrum DI と混合。

(音量は全体で-16LUFSに収まるようにしています。お手元で音量調節願います)

正味、Auraイメージのリストの中にSM57を使ったものは少なく、大半がコンデンサーマイクで収録されたものばかりなのですが、こんな感じよね?ってのはつかめると思います。

コンサートサイズ

基本的にはインプットに挿したギターのサイズや素材を揃えて使うもの…ということで、ここではリトルマーチンLX1Eを使いますので、まずはコンサート(パーラーギターやトラベルギター向け)サイズから音を出してみます。

リストから同じ木材・マイクの組み合わせになっているNo.1とNo.2からチョイス。

(木材が同じになっていますが、お問い合わせしたとおり違うモデルのギターをサンプリングしていると思われます)

はじめにBlendをMinimumにして、Auraイメージの音を混ぜない音からスタートします。Auraイメージなし〜AuraイメージNo.1〜AuraイメージNo.2を2回繰り返します。

(こんな感じ)

それでは聴いてやって下さい。
(“ギターへッタクソやなw”は言いっこナシでお願いしますw)

ドレッドノートサイズ

基本的には挿したギターのサイズにAuraイメージのサイズも合わせて使うことが推奨されているわけですが、そこはホラ…やっぱり試してみたくなるじゃないですか(笑)、大きいサイズを。リトルマーチンをつないでいるってこともあって、その小さいボディをゴマカスことが出来るのか?ってところが気になるわけです。

そこでやってみました。

3つともスプルーストップにローズウッドのサイド&バックをノイマンM147で収録されたイメージです。

コード進行(I-IV7-V7-I)ひとかたまりおきにイメージを切り替えて3イメージ✕2回繰り返しています。

エレキギターでやってみた

最後にエレキギターでやってみたらどんな変化があるのかな?ってことで、うちにあるなんちゃってストラトを使ってやってみました(笑)

ストラトのフロントピックアップを使用して収録しています。
まずはBlendをMinimumいっぱいに絞ってストラトをAura Spectrum DI に通しただけの音。そしてドレッドノートリストNo.1のスプルーストップ+ローズウッドサイド&バック+マイクDPA4011のイメージをブレンド。そしてコンサートリストNo.1のスプルーストップ+ローズウッドサイド&バック+マイクSchoepsCMC64おのイメージをブレンドした3パターンを2回繰り返しています。

シングルコイルということもあって少々ハムノイズが乗っちゃっていますが、Auraイメージをブレンドしたところからエレキっぽさを感じさせるカリッと感がちょっぴり薄れ、言われなければ気づかない人が1人2人現れちゃいそうな感じにはなっているんじゃないでしょうか。

Auraイメージ…恐るべしw

Aura Spectrum DI まとめ

Aura Spectrum DI は、ダイレクト・インジェクション・ボックス的な名前が付いていますがチャンネルストリップという位置付けでいいんじゃないでしょうか。
プリアンプ・EQ・コンプが揃っている上にフィードバックを回避する機能が付いていたり、生音を録音したような音をブレンドする機能が付いていたりと多機能なデバイス。

ライブはもちろん、静かな環境を整えるのが厳しい人(例えば私w)にも生音ちっくにレコーディングすることが出来るのはありがたい。

Auraイメージに至ってはエレキギターの音色さえもちょっと変化させられるだけのポテンシャルを持っているので、挿したギターのモデルにこだわることなくサイズ違いのイメージもあれこれ試してみると意外といい感じの組み合わせが見つけられるんじゃ?って期待も高まってしまいます。

また、今回は取り上げそびれてしまいましたがAuraイメージのプリセットはカテゴリーのひとつがユーザープリセットに充てがわれているので、16個のイメージを予めチョイスしておくことで手軽に切り替えて使うことも出来るようになります。そうしておけばノブをひねるだけで曲調に合わせて音色をガラッとチェンジすることが出来る。

Aura Image Gallery についてはこちら
Aura Image Gallery / AuraSpectrumDI – Fishman|ゆめはてcom

ここまで来たならリバーブも…という気もしないではないですが、「このデバイスの中で出来得る最高の音は用意したので、空間系のエフェクターはこだわりのデバイスをエフェクトループにつないでくれ!」という事なのかもしれません。

とにかく、今回の音声ファイル制作で痛感したことは「ギターって難しいw」って事。

でわでわ。

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