作曲と編曲の作業に追われて慌てふためいている内容のつぶやきを、タイムラインで見かけたので思うことをつらつらと。
その方には仰ぐ師がいらっしゃるので、ここにしたためますw
結論
思いの外長くなりましたので先に結論を。
作曲と編曲は別物!
身に着ける知識や経験に重複する部分は大いにありますが、考え方・作業は全く違うので一緒にしないでね…という話を長々とやります(笑)
参考になるか?は判りませんが、興味のある方はご覧ください。
そうじゃない…こうちゃうん…といろいろあると思いますが、ワシはこう思う…ってことでお願いいたします。
作曲と編曲の違い
一度したためた下書きを破棄して改めて書き直しております(笑)
だってね、作曲とはなんたらかんたら…編曲とはなんたらかんたら…と書いてみても、そんなお話しは多分他のどこかのサイトさんでたくさん語られてるでしょうから。
ここで改めてお話するようなことでもないし、真新しいお話しが出来るとも思わない(笑)
だからですね、きっかけとなったつぶやきに対して、もっとストレートにお話しをしてみようかな…と。
そういうわけですから、あまり万人受けするお話になるとは思えませんのであしからず…です。
で、作曲と編曲。
作曲はメロディーやを作って、編曲は決められたメロディーやに肉付けをして商品となるクオリティに膨らますこと。やることがそもそも違っている。似ているようで違う。
作曲はガイドがない。
編曲にはガイドがある。ガイド…というよりも、これは変えちゃいけない…という軸になるものがある。だから、その軸になるメロディーを壊してはいけない。
壊さないようにしなければいけないから、音楽理論が役に立つ。
多分、音楽理論は知っていれば知っているほど有利だろう。だって、いちいち悩まなくても相性のいい音が理屈で求められるのだから。数学の問題を解くのに公式を知っているか知らないか…の違いぐらい歴然とした差が生まれると思う。
しかし、作曲も編曲もどちらにも共通して必要なもの…それはセンス。
生まれ持ってセンスのいい人なんて本当に一握り。
だから、生まれてきてからこの方、見聞きした経験が大きく物を言う。
だけど、明らかに違うのは作曲は何もないところからメロディーを創り出し、編曲は決められたメロディーを崩すことなく肉付けしていく作業ってこと。
あと、ちょっと品のないお話かもしれないが作曲によって生まれたメロディーには権利が保証される。著作権ってやつ。
出願や登録の必要がない(著作権法17条2項、51条1項)
産業財産権は、特許庁などに出願・登録しないと権利を持つことができませんが、著作権は「創作された時点」から創作した人に権利が発生します。文章を書いたり、絵を描いたりすれば、誰もがその時点で権利者となります。
著作権の概要 JASRAC
しかし、編曲には明確に法によって保護される権利はない。
あ、いや、基本的人権やら作業で生まれたモノ以外の所は保護されますよ(笑)
作曲された音楽には、著作権によって最低限の権利がカチッと決められれていて、例えば侵された権利に対しては判例に基づいて損賠を請求することが出来る。
しかし、編曲によって生まれたアレンジに対しては、直接的に保護してくれる法はない。
録音された編曲後の”音”に関して保護してくれる法律がある(録音された音源を権利者に無断で使用できない)ので、ちょっとややこしくなってくる。
ただザックリと、メロディーは保護されていて、ハーモニー(コード進行)は守られていない…と思っていい。(メロディーはパクリがバレると怒られるけど、コード進行はバレても怒られない…事実同じコード進行の曲は無数にある)
ここが大きな違い。
だから作曲と編曲は、そういう意味でも別物と考えたほうがいい。
作曲今昔
昔の作曲家先生は、唄メロとコード進行までを担当されていたらしい。
ピアノやアコギで弾き語り出来る程度のところまでがお仕事だった…ということになる。
ところが、最近ではDAWの発達によって、作曲のコンペにはほぼアレンジまで出来上がった状態でないと受け付けてもらえないという。
先日、とある方が興味深いつぶやきをしておられた。
コンペについてだ。
音楽業界で悪名高き「コンペ」。突き詰めて言えば、「音楽がわからないサラリーマンが、仕事で使う音楽を『あとで叱られないように予防線を張りつつ』選ぶためのシステム」なのだと解釈いたしました。
いくら考えても「誰も得しない」システムです。終戦間際の日本軍の効率の悪さを1ミリも笑えない。
— バーバラ・アスカ☆コミケ2日目東ヌ46a (@barbara_asuka) 2018年12月5日
驚いたことに、コンペに応募された楽曲を判断しているのは、音楽に造詣が深い人ばかりではないらしい。
そりゃ、アレンジまできっちり出来上がっていないと判断なんて出来るわけがない。
コンペによって選び出された曲には多くの予算が動き、選ばれた音楽の評判はその損得を大きく左右すると言っても過言ではない。
ならば、出来るだけ完成形が見えて、より納得できる状態で判断したくなることだろう。
そりゃそうだ(笑)
そんな事情があるからコンペを目標に作曲をしておられる方は、必然的にアレンジ…編曲の仕事まで手を回さなければならない。
とはいえ、近頃ではニコニコ動画でアップされているボカロソングの創り手さんも商業音源に負けず劣らずの仕上がりを施しておられる方がたくさんいらっしゃる。そんな現状もあるからなお、コンペを目標に作曲しておられる人は大変。
もはや作曲と編曲は一括りで考えなければイカンようです…コンペが目標の人はね。
作曲がしたいなら
作曲は極端な話、弾き語りができる程度にまとめられればいい。
ちなみに先日発売されたビートルズのホワイトアルバム50周年記念版。おまけとしてイーシャー・デモという音源が同梱されていた。これにはホワイトアルバムに含まれた曲に加え、いくつかの曲が弾き語り程度のアレンジで収められている。ここに収められた弾き語りのデモが、アレンジされホワイトアルバムに収録された形となったのだ。
作曲家を目指しておられれる方は、ぜひホワイトアルバムとイーシャーデモを聴き比べてみて欲しい。
作曲はイーシャーデモまででいいのだ。
そこまで出来たら次の曲を作らなければならない。
そうでないと数なんてこなせるわけがない。失敗を繰り返すことが出来るのはアマチュアのうちだけなのだ。たくさん失敗しなければならない…くらいの気持ちで次々曲を創るべきだ。
職業として作曲を選ぶなら、コンペの条件やクライアントの要望に沿った曲をスラスラ書けなくてはならない。
曲をスラスラ書こうと思ったらそれこそ経験値を上げるしかない。〇〇っぽい曲が…と言われれば〇〇っぽい曲を5曲10曲と渡せなければ次に声がかかることはない。
ところが、近頃ではある程度のアレンジを求められるので、ついついベースラインにこだわってみたり、コード進行を複雑にしようとして収集がつかなくなってしまっている人が多いと思う。
コード進行なんてありきたりでエエねん!とりあえず。
使ってもセブンスコードまでで充分!
テンションノートなんて、慣れてない人が使いこなせるわけがない。トライアドコード・セブンスコードまでの基本的な響きを肌に染み付かせるほど馴染んでいない人がスラスラとテンションコードなんて扱えるわけがないのだ。自然と使えるようになってきた時、その時はじめてテンションコードを使えばいい。それまでは編曲者に任せなさい。
とにかく曲を書く!
メロディーが浮かばないのはインプットが全然足りていない証拠。
九州で立ち上がった音楽塾ヴォイスの西尾 芳彦さんが著書の中で教え子に徹底的に自分な好きな曲のメロディーを分析させていた…というくだりがあった。
どんなコード進行で、そのコードの中、どんな音程でどんなリズムでメロディは流れていくのか?徹底的に言語化させる。
これがインプット。
さすがはYUIや絢香、家入レオ、玉城千春、chayなどなど、錚々たるアーティストを世に出してこられただけあっていい事をおっしゃる。
ただ好きな曲を聴いて「たまんねぇw」なんて言っているのはインプットでも何でもない。ただの娯楽。
分析してコピーして解体してまた組み立て直す。そうやって自分の中で消化され身につく。これを繰り返せば、センスは自ずと磨かれる。だんだん耳も肥えてくる。耳が肥えればまた深く分析ができるようになる。そうなればまた違うメロディーが生まれてくる。
この繰り返し。
作曲とは、ここをひたすら繰り返して、熱を出して、うなされて、生み出す行為。
あなたの曲は、あなたの子供だわさ!
編曲がやりたいなら
音楽のジャンルは実に幅広い。
まず、自分が主戦場とするジャンルを絞ったほうがいい。
ナンでもカンでも任せろ!というのは、ベテランになってから。
まず自分がメインに扱うジャンルを定めたら、今そのジャンルでハヤっている楽曲はもちろん、昔の曲も徹底的に聴き漁り、どんな理屈が当てはまって成り立っているのか?曲全体を見渡して分析したほうがいい。
曲全体の姿が最終的にいちばん大事なのだから。
ジャンルにはそれぞれ特徴となる楽器が音像の中で陣取っている事が多い。
自分が決めたジャンルでよく使われる楽器については徹底的に精通しておこう。どんな弾き方をしてどんな音域で、どんな手癖が多くてその楽器っぽい…と感じるフレーズが溢れ出てくるようにしなければならない。
ひと言にロックったって、バラードからハードな曲まで様々な曲があるのだから、ギターの得意なフレーズを知らずしてロックっぽい曲が仕上げられるわけがない。
ガットギターの得意な音使いを知らずしてボサノバが仕上げられるわけがない。
オーケストラの編成を知らずしてシンフォニックなアレンジが書けるわけがない。
自分が受け付けるジャンルを決めたら、そのジャンルについて徹底的に読む・聴く・学ぶ、そして自分が受け付けるジャンル以外の曲を自分のジャンル風にアレンジsてやる…など、異種融合に挑戦する。そうすることで、自分が受け付けるつもりだったジャンル以外の世界にも目(耳)が広がってくれるでしょ。1つの作業で2つを学べるのはお得。
別にその楽器が上図に弾けなくたっていい。ただ音域、役割、奏法を理解せずして演奏家に楽譜は渡せない…ということ。目指すのが電子楽器だらけ…ってなら何でもありなので好きなようにして下さい(笑)
まとめ
結局のところ、作曲にせよ編曲にせよ経験と知識がモノを言う。
作曲だって、はじめは楽譜も書けずに鼻歌をレコーダーで録音してメンバーに渡していたとしても、繰り返していくうちにだんだん知識が増えてゆき、どんな音の流れが気持ちいいか…掴めてくるはず。そして、その流れのことを後からコード進行の理屈の中で見つけるのだ。大方気持ちのいい音の流れ、音の重なりはほぼ出尽くしている。気持ちいいものも気持ち悪いものも名前がついていたりする。そんなもの。
だからセンスを磨く。インプットを繰り返しつつ、音楽理論にも手を出して要領良くメロディーを書けるように修行するのだ。
編曲だってそう。経験のないものが編曲など出来るわけがない。楽器編成について理解の浅い者が施したアレンジなんて底が浅いに決まっている。(数曲まぐれが起こったとしても職業にするのなら何十曲、何百曲とミラクルを起こさなければならない)
どちらを志すにしても、知識と経験を積み上げることを怠ってはいけない。
ただ、気を付けなければならないのは作曲と編曲ではチカラを注ぐベクトルが全然違うこと。
なので、自分は何がしたいのか?
今、ここでハッキリさせたほうがいい。
そこがハッキリすれば、目指す方向が定まってくる。定まってくれば具体的に調べたり、習ったり、要領良く経験を積む。時に軌道修正を誰かにお願いするのも大切。自分だけの視野がはじめから当てになるはずがないのだから。なので、今、師と仰いている人にしっかりと教えを請い、漏らさず身に付け、加えて自分の感性を信じて磨き続けて欲しい。
あなたにしか出来ないメロディー・アレンジが息を吐くように生み出せるように。
〆
まとめが全然まとめになっていませんでしたので、あらためて(笑)
作曲と編曲って似ていますけど、やることがぜんぜん違う。
プレイヤーとして舞台に立ちたいのか。作家として裏方に専念するのか…という違いも大きい。
なので、自分がやりたい方向をしっかりと見定めて進んでいかないと目標に全然たどり着けなくなります。
最終的な大きい目標もかかげておいて、そのゴールまでに何をしていかなければならないか、細切りの小さい目標も掲げる。大きい目標も小さい目標も、両方意識していないとアッという間に迷子になってしまいますので、しっかりとやりたい事を意識して欲しいところです。
職業にするならもちろんですが、職業にすることが叶わなかったとしても、やってきた努力はカタチを変えて何かを残してくれると思います。
ここまでのお話しも、つぶやきにかんかされて勢いつけて書いてしまったので、同じ様な話が重複してしまったり、大事なところが抜けてしまっているかもしれませんが、おおよそ言いたいことは言えたかな?と思います(笑)
ぜひ、夢を掴んでほしいと思います。
私のように夢に溺れてしまわないように…という願いを込めて。
でわでわ。
P.S.
ここに書かれてある通りにしたのに「夢が叶わなかったやんけ!」という類(それ以外もですがw)の責任は負いかねますのであしからず…です。