住宅事情に恵まれない日本の DTMer に道標を示してくれたビリー・アイリッシュ

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18歳という若さで第62回グラミー賞主要4部門を含む5部門を受賞したビリー・アイリッシュがもたらしたものは、多くの話題と衝撃に併せて住宅事情に恵まれない日本の宅録愛好家への新しい方向性なのでは?という持論を展開いたします。

まぁ、独り言ですので大目に見てやって下さい。

歌は囁きでもよい

ビリー・アイリッシュのアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」を聴き終わって驚かされたのは終始囁くような声で歌う鼻歌。勝手な先入観で「歌って大きい声で歌うもの…」というイメージが植え付けられていた私には衝撃でした。鼻歌で成立するのなんて一部のボサノバ位のもんで、ポピュラーミュージックで大きい声を出さない歌というのはありえない!なんて決めつけておりました。

とはいえそれでも囁くような歌い方をされておられる方がいないわけでもない。

囁くような歌い方として真っ先に思い描いたのが小野リサさん。

思い起こせばEveryLittleThingの持田香織さんが”恋文”を歌っておられたあたりが囁くような歌い方をされておられました。

あまりちゃんと聴いたことがないのであれなんですが、テレビのコマーシャルあたりで聴いた感じでDAOKOちゃんも囁くような感じの歌い方と言ってもいいでしょうかね。

Charaさんあたりもこのタイプの歌い方かな?と思って確かめてみましたら、曲の盛り上がるところでは(腹から声を出す感じとはまた違いますが)結構大きい声でハッキリ歌ったりすることもあるみたいですねw

私が聴いてこなかったってだけで探せばまだまだ出てくるでしょう。

日本人による囁くような歌声はこれまでも一定の支持を得ていた。しかし、ここに挙げた楽曲以上にビリーの声は小さい。通常の会話以上に張り上げた声は収められていないんやなかろか。まさに深夜のベッドルームで収録された歌声。
そして、今回は規模が違う。グラミー5冠だ。そして5冠を達成したビリー・アイリッシュはこう言ったらしい。

僕たちはベッドルームで一緒に音楽を作ってきました。今もそれを続けているし、いろんな人がそれを続けさせてくれています。この賞を今日、ベッドルームで音楽を作っているすべての子供たちに贈ります。きっと君たちがこの中の賞をいつか手に入れるはずだ

ベッドルームで叱られない程度の小さな声で囁くように歌った歌でも認めてもらえたんだよ…そんな風に捉えられなくもない。この認められた…というのは、市場のみならずグラミーの審査員をされておられるような音楽を一歩下がったところから取り扱っているような人達にも認めた…という意味ではこの功績は本当に大きいと思う。鼻歌でもエエねんやん!って。

最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞に選出された収録曲「bad buy」は現読売テレビ/日本テレビ系で放送される2020年1月期新日曜ドラマ”シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。”の主題歌としても採用されている。

囁くような歌声のみならず曲の構成や音使いでも、これまでのセオリーを逸脱した実験的な手法で奏でられているらしい楽曲(まだそこが解るほどは聴き込めていません)は近々日本国内に置いても違和感なく受け入れられる事になっていくだろう。

…と、いうことは?

ここでタイトルにある”住宅事情に恵まれない日本の DTMer に道標を示してくれた…”となるわけです。(言い過ぎ?)

マンションやアパートで生活をしておられる人たちは日夜壁の向こうの生活音と戦っておられる。そこに音楽が好き!ってなると悩ましい問題が…。騒音問題。ちょっとでも大きい音で聴きたいけれど大きくしすぎるとおっかない壁ドンが打ち込まれる…なんて人も少なくないことでしょう。その上、楽曲制作までされておられるとなると曲によっては歌も録音したくなることもある。

これまでの感覚でいけば、声を張り上げるまでもなくとも日常会話以上の音量で歌うことを考えていた。

だって、テレビとかでベテラン芸人さんが新人芸人さんに向かってよくおっしゃられているでしょ…「声が小さい!」「腹から声出せや!」なんて。(これは説得力なしw)

ライブハウスや練習スタジオで演奏したことのある人にはご理解いただけると思いますが、スタジオや舞台上ではいろんな楽器の生音がけたたましく鳴り響いている。メンバーにドラムがいれば、間違いなく会話など成り立たない音量でビートが刻まれる。当然、ボーカルはマイクを使うことになる。しかし、ある程度の広さを確保できないうちはマイクの音量には頼ることが出来ない。なぜならハウリングで歌どころではなくなる。(最近の機材はその辺を多少調整できるのでしょうが、その操作をするためにその知識が必要になる)

ところが、ライブを前提としていないDTMerであれば、そんな心配は無用。極端な言い方をすれば音源の中で聴かせたいメロディが聴こえてていればいい。

ビリー・アイリッシュのアルバムでもそうですが、伴奏の音数は意外とシンプル。その代わり歌声は相当重ねてありそうで、あちこちからビリーの声が聴こえてくる。囁くような歌声が魅力的に聴こえるコーラスワークのアイデアが満載となっている。

大きい音が出せない環境で、大きい声を出せなくて創作が先に進まないくらいなら、小さい声でもいいからとにかく声を録音してみなよ!何度も何度も重ねたり削ったりして魅力的に聴こえる姿を模索したほうがいいよ!って。

そんな風に教えられたような気がします。

ちなみに最近、アコギを新調しましてね、自宅で爪弾いているわけですよ。

うちの自宅も隣への配慮が必要(聴かれたくないだけですがw)なので、ピックによるストロークは一切していません。ピックを使わないくらいですから、弾き語りのマネごとをするときも、キーを下げてちっさい声で歌っているわけです。こんなんじゃいつまで経っても歌は巧くならんなぁ…なんて思っておりましたが、いっそのこと今の声量での歌い方を軸にしてみるのもありなのかな?なんて思い始めてしまいました。まぁしばらくは「でっかい声で歌えやw」って言われることになるんでしょうけどね(笑)判らん、やっぱりでっかい声で歌ったほうが気持ちよさそう…。

ともあれ、音源のみの創作であれば必ずしも張り上げた声でなくとも作品は作ることが出来る。その代わり魅力的に聴こえるアイデアは詰め込む必要があるかな。

低音の馬力がスゴイ

うちで使うスピーカーはIK Multimedia社のiLoudMicroMonitor。一応低音域は55Hzまで再現可能…というスペックになっている。逆に言えば55Hz未満の音は再現されていない。
それでもこのアルバムに収録されている低音域のブリンブリン具合は感じて取ることができる。

ちなみに…

“BudGuy”の2分30秒辺りから始まるベースラインをメロダインで確認しますとG#1からG1へのチョークダウン的なフレーズになっています。

A4=400Hzとした時(時々A3=440Hzとしている場合もあるので)、G1の周波数は48.999Hzということになるらしい。
いや、この考え方は相対的なものなので間違い。この場合、メロダインが440HzをA3に合わせているのか?A4に合わせているのか?を確認しなければならない。

メロダインをあれこれいじっていたら判りましたw

メロダインではA4が440Hzになっていました。

一応アナライザでも見ておきましょうか。

(実は先にこっちのスクショを撮っていたので使いたかっただけw)

50Hzよりもちょっと左側にグラフのピークが来ていますので、おおよそ48.999Hzくらいであることが確認できます。

これはiLoud MMのスペック(55Hz〜)上、画像の部分にあたるベースラインの基音は再現できない音になるじゃないか。もしかしたらベース音の積み重なった倍音を聴くことで低音域のフレーズを連想している…ということになるのかもしれません。(ちなみにこの曲の中で出てくる最低音はD1[36.708Hz]でした…これも基音は聴き取れていないのかな?)解らん(笑)

サイン波のような特殊な場合を除いて、楽器の音というのは倍音の積み重ねで音色を構築していますので、基音そのものが聴こえていないとしても音が鳴っている…というのは認識出来るんやと思います。低音域が音階の認識が難しい…なんてお話を聴いたことがありますがこの辺(鳴っている?聴き取れてる?共に含めて基音が聴こえていない)のことが影響しているんでしょうかね?よく解りませんw

それでもこのブリンブリン具合は感じられるわけです(笑)

サンレコ2019年9月号で、ビリー・アイリッシュの特集が組んであり、そこ(P29)でミックスエンジニアのロブ・キネルスキーが低音域について答えていました。ビリー・アイリッシュとフィネアス・オコネル(プロデューサーで実兄)の二人とじっくり話す機会があり、その時二人は「ローエンドについて強調したい」と言ってきたのだそう。それに対してロブ氏は「ローエンドが全てではなく、ボーカルが目立つことも重要だ」と返したらしい。その結果が今回のアルバム「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」の仕上がり…ということなんでしょうか。

低音域を強調したベースラインやキックの音に対して、中高音域に位置するボーカルやコーラス、指パッチンやハットの音によるコントラストを存分に楽しめるアレンジ・ミックスとなっている。
ビリー・アイリッシュの今回のアルバムに関してはBudGuyをはじめコードワークを担う中高音域の楽器があまり聴こえてこない。そのせいもあってBudGuyの指パッチンのタイミングの相当なズレ具合が妙に聴き取りやすい。これも制作陣の狙いなのでしょうかね。

正直なところわたしは偏った音楽遍歴(偏っているなら遍歴はおかしい?)を送ってきましたから、ここまで低音域に特徴のある音楽にのけぞってしまいました(笑)

今、手元にあるAQUA(懐かしいだろw)やBritney Spears、Carly Ree Jepsen、Katy Perry辺りの代表曲を聞き返してみましたが、ここまで低音域にインパクトのある曲はありませんでした。LADY GAGA の BAD ROMANCE に似たような低音域のインパクトを感じましたが、このシンセベースの音ももうちょっとレンジの広い音をしていましたからまた違うインパクトかな?という感じ。

もうちょっとクラブ系の音楽を漁ってみればたくさん見つかるのでしょうが、手元に資料がないものでw

サンレコ2019年9月号のP30〜31にアルバム収録曲”bury a friend”の72TrにおよぶProToolsセッションの画像が掲載されていますが、これら全てが楽器の音ではなくて、サミングミキサー2-BUSへのセンドリターンに7Trを含め多くのAUXやバスチャンネルが含まれているので、結局の所収録された楽器の音はそれほどのチャンネル数ではなさそう。
(サンレコによりますと…ドラム18Tr、ベース4Tr、ピアノ1Tr、キーボード4Tr、サウンドエフェクト7Tr)

楽器の音に対して、ボーカルのトラックはリードボーカル+AUX…7Tr、ハモリ用ボーカル+AUX…10Tr、バッキングボーカル+AUX…8Trということですから、”bury a friend”のセッションはドラムとボーカルで半分のトラックを使っちゃっています(笑)

ボーカルに対する懲りようがハンバない(笑)
(世のセッションがどれほどか知りませんがw)

メインボーカルを支えるのは重低音を中心にプラス僅かな中高域の楽器やSEという削ぎ落とした構成で囁き声を聴かせる音を作っておられる。

今後、ここまで露骨ではないにしても、恵まれない住宅事情に導かれて収録された囁くような歌声を聞かせてくれる楽曲がもっともっと増えていくのかもしれない。

しばらくは「あぁwビリー・アイリッシュっぽいねw」なんて言われるのだろうが、それでもこのスタイルをアメリカは認めた。そして、数年後、日本国内でも受け入れられる日が来るんじゃなかろか。

そんな日が来た時、そのムーブメントの中に紛れるには、今からささやき声での楽曲制作を始めていないとそのノウハウは身に付いていないでしょう。

やるか?
やらないか?
やっちゃう?
どうしようw

でわでわ

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