リットーミュージックより発売されたサザンオールスターズ 公式データブック 1978-2019 がとても良かったのでご紹介。
サザンオールスターズヒストリーとしてこれまでの活動を6つの時代に分けて解説されていたり、レコーディングに携わったエンジニアさんのインタビューが盛り込まれていたり、サザンオールスターズ名義はもちろん、各メンバーのソロ名義による作品についても網羅されています。
1冊の本がサイトのあるべき姿…と思っている私としましてはレビューブログなどを書かれているブロガーさんにも参考にしていただきたい本ではないでしょうか。
にわかファンの私にも楽しめる内容
正直、わたしはガッツリファン…というわけではありません。しかし、このデータブックを手にして読みふけっていると、あのアルバムを聴いていた頃はあんなことがあったなぁ…なんて思い出のBGMとして記憶に残っている程度には聴いてきました。
本気のガチファンの方にしてみれば怒られるかもしれませんが(笑)、それでもやはりサザンオールスターズのたくさんの歌に励まされたり慰められたりしてきたようです。
レコーディングに興味のある人にも楽しめる内容
サザンオールスターズの音源制作に携わったレコーディングエンジニア、猪俣彰三さん、池村雅彦さん、今井邦彦さん、林憲一さん、中山佳敬さん、6名のインタビューが、Victor Studio 401 の写真と共に紹介されています。
桑田佳祐さんと出会った印象や、制作風景やこぼれ話が記されていたり、あのアルバム…あの曲を作っていた時はあ〜だった、こうだった…と、なかなか伺うことの出来ない制作サイドのお話を読むことが出来ます。
とある曲のイントロでベースは打ち込みだけど、その上に乗っているシンセは原さんの手弾きをクオンタイズしているから(P-43)…
とあるアルバムから導入されたSONY MPC3348にOTARI MTR 90を連動させて48チャンネルにして制作を始めようとしたら、いいタイミングでMITSUBISHIからデジタル32チャンネルが発売されたので会社(ビクタースタジオ)に無理言って買ってもらったのに、結局トラブル続きでSONY+OTARIに戻して制作しちゃった(P-54)…
なんてことは、こうした答え合わせでもしなければ、知り得ようもない情報だったりするわけです。
もちろんガッツリガチファン…という方も
サザンオールスターズの活動に関して、余すところなく盛り込まれていますので、わたしのようなライトなファンではなく、ガチファンの方にもきっと楽しんでいただけるものになっているのではないでしょうか。
サザンオールスターズ名義のアルバムに関する情報はもちろんのこと、KUWATA BANDや桑田佳祐さんのソロ名義、桑田佳祐さん以外のメンバー全員のソロ音源についてもしっかりと記されています。
そんな音源や映像作品の情報に加えて驚いたのが、サザンオールスターズのコンサートツアーで訪れた会場やそのツアーのセットリストも記されています。
ガチのファンであれば、これらコンサートツアーのいくつかに参加されておられることでしょうから、このツアー一覧を見て「この日のこの会場には行ったなぁ…」なんて思い出すのに、いいキッカケにもなるのではないでしょうか。
レビューブログのいい見本
わたしは、”サイトの構造は、雑誌や書籍を見本にすべき”という持論を持っているのですが、この公式データブックは、本当に良い見本になるんじゃなかろか?なんて思ったりしています。
もちろん、ページの割り振りなんてのは本とサイトでは違ってきますが、ハイパーテキストという機能を持つウェブサイトでは、文章の中からリンクを貼ることで、本文を楽しみながら、すかさずデータベースにアクセスできる便利なメディアです。
サザンオールスターズヒストリーやエンジニアさんのインタビューの中から、必要に応じてアルバムの情報へ飛んでいけたりするのは、書籍とはまた違った楽しみをもたらしてくれると思うわけです。
そう考えた時、このデータブックのように読んで楽しむところと、アルバムの収録曲やツアーのセットリストなどのデータが共存したこの本はウェブサイトの見本としても手にすべき価値があるんじゃないでしょうか。
また、サザンオールスターズや各メンバーがこれまでの活動の中で発表してきた作品に対して、解説文が添えられているところでは、レビューサイトをやられている人にとっても、レビューを書く時の参考になると思います。
(もちろん、リンクをクリックすしてもらうための文章の持って行き方はまた別問題ですが)
まとめ
いや、ホント、この本を手にしたことで、サザンオールスターズの過去音源も全部聴き返したくなってしまいました(笑)。
CD屋さんなんかは、CD売り場に特設コーナーとして、サザンオールスターズはもちろん、各メンバーにまつわる商品を一箇所にまとめて、このデータブックを山積みにして売り出すべきなんじゃなかろか(もうすでにやっておられるかw)。
サザンの曲だけでも莫大な量ですから、今手元にある音源を聴き返すだけでも何時間かかることか(笑)
それでも、全てのアルバムを持っているわけではありませんから、これからあの手この手でかき集めてみようと思います。
このアルバムからはデジタルレコーディングに完全移行したんかぁ…とか、このアルバムはSSL SL9000Jでミックスされてるんかなぁ…この歌声はNEUMANN U47 TUBEで収録された音なんやろか…なんて、この本を片手に聴き返すのが楽しみでなりません。
いや、ホント、音楽制作に興味がある人も貴重な資料として手元に置いておくのがいいんじゃないでしょうか。
一度、手に取ってパラパラ…と中身をチェックしてみて下さい。
でわでわ。