DAW界隈の狭い話題から感謝の気持ち

DTM

DAWというソフトウェアが出来る事はたくさんある。というかしなければいけない操作がたくさんあるw

そんな当たり前を改めて認識させられたつぶやきから、まぁ、なんといいますか、独り言です(笑)

賛から否まで、様々なご意見を拝見して、ならばわたくしも…と、ここでぼやいてみました。

発端

今回の発端はゆにばすさんのつぶやき。

現代のDTMerはやることが多いからもっと崇めてね…的なご意見から。

ゆにばすさんのこのつぶやきが何を言わんとしているのか?文字数制限により語尾がかけてしまっているため、最後のどんでん返しは否定しきれるものではないが、まぁ、およそ文面通り受け取ってよろしいかと。

賛否

自分の中でもあれこれと思いを巡らせてみました。そんな事を考えながらもツイッターのタイムラインにどんなご意見が流れてくるのか?ちょっと待ってもいたんです。

で、真っ先に応えてくださったのが近頃新しいサイトを始められたくらんけさん。
→ このままでは衰退し続ける「DTM」シーン。それを食い止める施策を考察する。 | くらんけ.jp(サイト閉鎖)
くらんけさんは、このつぶやきからDTM界隈の衰退…ひいては作曲離れを懸念されておられる。

その他、発端となったつぶやきには様々なご意見が付け加えられている。

DAWは敷居が高い

そもそも忘れてはいけないのが最上位ランクのDAWソフトはプロが業務用に使って差し支えない機能を有していること。

有名所ではProTools。これは販売目的の音源を制作するスタジオで採用されているソフト。

CubaseやStudioOne、Digital Performerだって、業務用スタジオのホストDAWではないにしても、そこで制作される楽曲の土台を各クリエイターが組み立てる際に使用されている。

プロの作業に差し障りのない機能を有したソフトウェアを、ズブの素人が触って使いこなせるわけがない。

いきなり最上位クラスのDAWを触るのは無謀と言わざるを得ない。

そもそもその様なプロの業務に耐えうるソフトウェアが、民生価格で出回っているのが間違いなのかも(笑)

いや、それはそれでありがたい。

アナログ時代のレコーディングスタジオの機材なんて、素人にはとても揃えられたものではない。それが、デジタル技術のおかげでプロが使用しているのと同じものが触れるなんて、ホント素晴らしい時代だ。

しかし、それらの道具が誰でも触れるように構成されていないのは仕方のない話。

だって、プロが触る時に「いちいちそんな事すんなw!」って邪魔になるだろうから。

判っている人には、手取り足取りサポートする機能は逆に邪魔。

結局の所、DAWの最上位クラスは使い慣れた人がスムーズに作業できるよう設計されているのだから、全くの素人が触ることがそもそも無謀なんだと思う。

初心者向けDAW

DAWの担っている処理が楽曲の構築である以上、DAWというソフトウェアがシンプルになるのは難しい。

曲を構築する…というのがそもそもシンプルではないってこと。

それでも、各DAWには無料配布されていたり、ハードにバンドルされてついでに手に入ったりするグレードのものがある。

機能が制限されていたり、扱えるトラックが少なかったりと、何かしら削られているもの。

そういった制限版のDAWでさえ、初心者の目にはかなり複雑に映ることでしょう。

様々なパーツがあり、何を触ればどう機能するのか?それらを把握するのにはなかなかの手間暇がかかることだろう。

それでも制限されているのだから、最上位クラスのDAWが複雑なのは致し方ない。

DAWに初心者向けなない(笑)

「DAW」という言葉に含まれる要素が多すぎるのだ。つまりここでゆにばすさんのつぶやきに立ち返る。

「DTMerがやることは多いんだよ」

故に初心者向けなんて作りようがない(笑)

DAWを解体

DAWというソフトウェアでやれることが、つまりゆにばすさんのつぶやきに含まれている。なので、初心者の方はそれらをそれぞれにバラして手を付けるのが近道。

作曲・編曲

作曲や編曲って作業だけで、そもそもそれなりに気合がいる。別に音大へ入るわけではないので、音楽理論を網羅しなければいけない!ということはない。

しかし、ワンフレーズを鼻歌で歌い流すのと、そのワンフレーズを広げに広げて楽曲として体裁を整えるには、それなりの感性や知識、そして根気が必要。

で、その作業だけをやるのにDAWを使うのはアリ!結構便利で捗ること間違いなし。

レコーディング

何か楽器を嗜んでおられる方が、自分の演奏を録音したくなるのは自然な反応。そこでDAWを利用するのはアリ!

DAWに備わっているテンポやメトロノーム、MIDIによる打ち込みの伴奏を使わず、ただ録音ボタンをポチ!っと押して、あとは自分のタイミングで演奏を始める。

最後まで弾ききったら、停止ボタンを押してプレイバック。

自分の演奏のアラを探したり、自分の演奏にエフェクトをかけて配布音源を作ってみたりと楽しみは広がるばかり。

やがて慣れてくれば、もっといい音で録りたくなる。

そうして沼にハマっていくのだろう…

ミックス・マスタリング

ミックスとマスタリングを一括りにしちゃうと、それらのエンジニアリングを生業とされておられる方に怒られちゃいそうですが、ここではひとつまとめさせて下さい。

ミックスとマスタリングはそれぞれゴールが違うので、DAWの操作としても、やることが違ってきますが、触るソフトはおよそ同じだったりします。(マスタリング専用のソフトは別にありますがDAWでも出来ないわけではない…ということで)

ミックスでは収録されている各ソースの音量や定位、更に束ねた時に邪魔となる帯域の修正や、その他の加工を施すためにエフェクターを駆使することになる。

つまりDAWの使い方だけを覚えていてもミックスは出来ない。

各エフェクターの効果を踏まえ、どのソースにどのエフェクターが必要で、どのようなセッティングをすればより楽曲が映えるのか?という事を考えて作業する。

そもそもエフェクターが何?と言っている初心者がさばける工程ではない。

マスタリングもしかり。

配信であれ、CD製作であれ、最終的にどのくらいの音量で、その音量の中で楽曲が一番輝いて聴こえるようにするには何が必要なのか?(最近では落ち着きを見せているが、ラウドネス論争もあり様々な意見がある)

更にはCDプレス業者へ渡すファイルの約束事を守り、完成させる知識が無いことにはマスタリングなど出来るわけがない。

そう考えると、コミケなどで音源を頒布されておられる方達は、実に幅広い知識と行動力をお持ちなんだ…と感服させられます。

DAWの操作

DAWが持つ機能を一度に全てマスターしようとすると、とても大変。しかし、ここで述べてきたように用途を絞り、それぞれの用途に必要な機能をまずはマスターしてみる…と考えれば、DAWの活用も見えてくるかと。

もちろん、全く触れたことのない人がいきなり最上位クラスのDAWに何万円という費用を投じるにはちゅうちょもあるだろうし、ヤメたほうがいい。

まずは、ハードにバンドルされているクラスのものや、無料で手に入るモノを触ってみて、自分にあっているかどうか?を確かめてから手を出したほうがいい。

Macをお使いの方であれば、GarageBandがついてくる。

GarageBandを触ってみて、相性がいい!と感じればLogicを視野に入れる。

「GarageBand…触りにくいw」と思えば別のDAWをチェックする。

レコーディングスタジオと連携を密にしたいと考えるならProToolsを検討。

自分であれこれ調べながらやりたいのであれば、DAW市場のシェアナンバーワンとの声をよく耳にするCubaseを試してみる。(Cubaseのライト版が付属するハードを買ってみるとか)

身近に使っている人がいるからStudioOneを選んだ(ワシの場合w)とか。

何にせよ、DAWの操作感は、結果的に同じ処理をするのだけれど、その為の所作が自分のフィーリングにマッチするかどうか?ということについては実際に触ってみないと判らない。

なので、いきなり最上位版ではなく、ライト版から手を付ける。(ちなみにわしはいきなり最上位版でしたが、カセットMTR、デジタルMTRに触れてきた経験者なのでw)

きっと「始めのひとつ…」だけでは本当にマッチしているのかどうか、はっきりしないだろうから2つ3つ試してみるといい。

自分に合うかどうか?なんて自分自身にしか判断できないし、触ったことのないものの良し悪しなんて判るわけもないのだから。

DAW界隈の衰退

DAW界隈なんて書いてしまいましたが、そもそもDAWという言葉に含まれる要素が多すぎるので、なかなか簡単に語ることは出来ません。

しかし、DAWというソフトウェアが楽曲という作品を制作する道具…ということで考えるならば、レコーディング機材が民生価格に落ち着いてきた事で、手にした人数というのは増え続けていると思う。

そして、実際に作品を製作してコミケで頒布されたり、SNSなどオンライン上で公開されている人も増えてきているでしょう。

事実、動画サイトに作品を発表して、プロダクションに所属、やがて作品が大手レコード会社から販売された…なんて人が現れているのだから。

DAW界隈の衰退…この先、そんな心配をしなければいけないようになるとしたら、それは多分、ヒットする作品がDAWによる製作ではなくなってしまった時かもしれない。

そう考えると、なかなかそんな事はないやろうwと思う。

DAWを抜きにして、楽曲制作は考えられないだろうし、DAWを抜きにしてCDに落とし込むファイル製作は難しそう。

でも、絶対!とは言い切れない。

制作サイドはスマホで完結して、プレス業者さんの方でマスタリングをして、CDに焼かれた楽曲がチャートNo.1に輝きました!なんて事が起こってしまったら、どんな天変地異が起こることだろう。

某動画サイトで人気のボーカロイド作品も、その界隈の中だけとはいえ、注目される人が現れ、その注目された人がどういった作業環境で創作しているのか?という情報が広がり、やがて自分もやりたい!という人が作品を完成させる様になり始めると、ひとつのムーブメントとして盛り上がってきた。

そういった流れは、90年台のカラオケブームにも似た様子が見て取れる。

それまでおっちゃんたちが集う、社交場での時間稼ぎとしてホスト側にも重宝されていたカラオケが、やがてカラオケボックスとしてカラオケそのものが主役となる場に広がり、牙城の足がかりとしてボーカリストがギリギリで歌うハイトーンの楽曲で時代に殴り込みをかけた小室哲哉さんが、やがて市場という畑を耕し切った頃合いを見て、素人でも元キーで歌える楽曲を投下。

ますますカラオケボックスに人が群がる現象を見せた。

いや、もちろん他の様々な要素が複雑に絡み合ってあのカラオケブームってあったんだと思います。

最近では不動産管理に忙しいらしいビーイングに所属していたアーティストさんたちもこの頃が盛り上がっていた時期ですから。

ともあれ、カラオケという機材はそこに流し込まれるソフトウェア…つまりヒット曲の存在なくしてその繁栄はなかったのではなかろうか…と。

なので、DAWというソフトウェアも、そのソフトウェアを使って生まれた作品のヒットがないと、今以上の盛り上がりは見られないだろうな。あ、でも、実際のところ、現状のヒット曲の多くはDAWで制作されているんですけどねw

Palm Top Music

時代はいよいよデスクトップからパームトップへと移り変わろうとしている…かもしれない。

パーム(palm)…手のひら

「Desk Top Music」が卓上音楽なら、デスクを手のひらに置き換えて「Palm Top Music」で手のひらの上の音楽。

略して「P.T.M」…浸透するかな?
(誰が言い出しっぺか?は存じ上げませんw)

まだまだ局地的な盛り上がりでしかありませんが、少なくとも前年よりは間違いなく盛り上がりを見せているiOS、MacOS、Nintendo Switchで可動するKORG Gadgetという楽曲制作ソフト。

今後、更に盛り上がってくれれば、いよいよ本格的にパームトップミュージックは、認知されていくのではなかろうか。

現在、すでにグラミーノミネートされた経歴を持たれるスティーブ・レイシー(ジャズのソプラノ・サックス奏者とは別人)さんは、楽曲制作をiPod touchに入っていたGarageBandで始めたという。

その後、iPhoneへ移行し、今ではラップトップも併用しているらしいが、それでも作業の根幹にはiOS版GarageBandがある。

GarageBandならギリギリ…というか、立派にDAWと言ってもいいだろうから、デスクトップはパームトップへ移行したとしても、ギリDAWは生き残った(笑)

DAWが生き残るには?

ここで改めてDAWが生き残るには?なんて考えなくても、まだ当分は衰退することはないと思う。

そもそも楽曲制作という作業自体がマニアックな世界(笑)

何かしらの楽器を演奏される奏者さんの数にも遠く及ばないかもしれない。

しかし、ある程度楽器が弾けるようになった奏者さんは、DAWを使うようになるだろうし、楽器が弾けなくたってDAWを駆使することで作曲や音源制作を行うことは出来る。

つまりはこの世から「音楽」という文化がなくならない限り…というか、音楽を楽しめるこの平和が崩れてしまわない限り、DAWは求められるだろうし、進化し続けてくれると思う。

戦後、積み重ねてきた平和のおかげで、生活環境も向上したし、贅沢もすっかり身近になってきた。

音楽に限らず、芸術という生活の必需品とは言えない文化を楽しんでいられるのも、この平和があってこそなんじゃなかろか。

明日の食い物にも困るような生活では、到底DAWにお金をつぎ込むことなんて出来ないやろうし。

なんだか壮大なお話になってしまいましたが、この平和が続く限り、もっとみんなで音楽を楽しんでほしいし、ヒット曲だけが音楽じゃないことも知ってほしい。

インターネットという誰もが情報発信者になれるツールがあるのも平和の積み重ねのおかげか。(その開発の裏側に軍事開発が見え隠れするのも現実ですがw)

そんなツールがあるのだから、DAW熟練者さんがDAW初心者さんに向けて、どう手を付ければいいのか?という情報を発信していくことが、DAWという道具を使う人を途切れさせないひとつの手段ではあるかもしれません。

ヒットする曲がある。

そのヒット曲はどうやって創られているのだろう?と思う人がいる。

そのヒット曲を創る手順を公開している人がいる。

その情報を元に、また曲を創る人が現れる。

この循環を途切れさせないようにすれば、また新しい音楽創作人が現れてくれる。

…かな?


Special Thanks

ゆにばす(シンセサイザー/ゲーム音楽)さん
Computer Music Japan | DTM・シンセサイザーのセール・新製品など音楽制作情報サイト
SynthSonic


くらんけ@gadget-junkies.netさん
Gadget-Junkies.net | “KORG Gadget” 総合情報サイト。 使い方の解説やTips、ユーザーフォーラムなど。
→ くらんけ.jp | 1日1本、ビョーキなネタをご案内。(サイト閉鎖)

タイトルとURLをコピーしました