DAWの中を走り回る音の信号は実に複雑に走り回っております
果たしてどこまで気にしてますか?というお話です
オーディオインターフェイスからの信号と完成品として吐き出すファイルのラウドネスレベルは当然気にしておられるとして、果たしてDAW内のミキサーの入出力や、挿入している各種プラグインの入出力はどこまで意識しておられるでしょう?
VUメーターの常時表示
ことの発端はVUメーターの常時表示が出来ることに気付いたこと
スタジオ・ワンでは、画面で常に確認できるフェーダー脇にあるレベルメーターは切り替えることでプリフェーダーかポストフェーダーを選ぶことができる(スタジオ・ワンやその他のDAWでプリ・ポスト両方同時表示が可能なのか?詳細は不明)
言い方を変えると、プリフェーダーレベルかポストフェーダーレベルのどちらか…しか常時表示はできない(現状、私の場合は)
これ、今となっては落とし穴じゃないか!?と思うわけです
経験豊かな人やカンの鋭い方であれば気付くのでしょうが、わたくしはつい去年の前半までプリフェーダーレベルやプラグイン間のレベルに無頓着でした(恥っ…)
だいたいスタジオ・ワンのミキサー画面にはトリムノブ(ミキサーへの入力ゲインの調整ノブ)がデフォルトで表示されてなかったし
スタジオ・ワンではミキサー枠の左端上部にあるレンチマーク( 図 ① )をクリックして表示できるメニューから[ 入力コントロール ]の左側にチェックを入れると各ミキサー上部にトリムノブと位相反転のアイコン( 図 ③ )が表示される
これらもそもそもデフォルトで表示されているべきパーツでは?と思う
このトリムノブの存在には早くに気付いていたけど、プリフェーダーのレベル確認がいちいち切り替えないとできないのは非常にメンドクサイと思っていた
で、このメンドクサイを解決してくれたのがVUメーターなのだ
スタジオ・ワンのVUメーターは便利
PreSonusのVUメーターは付属プラグインに内包されておらず個別にダウンロードする必要がある(これがそもそもおかしいw)
VUメーターは他にもWaves などプラグインメーカーからも出ていたりするが、これらとPrerSonusのVUメーターには圧倒的な違いがある
それは、ミキサー枠の各インサートスロットそれぞれに小さくVUメーターを表示することが出来るのだ
PreSonus VUメーターの設定
PreSonusのVUメーターもインサートスロットに放り込んだだけでは名前だけしか表示されない
だが、プラグイン名の右脇に薄っすら存在する逆三角マークをクリックするとメニューが表示され、そこにある[ 展開 ]をクリックするとメーター窓が表示される
ところで、これを各トラック全てにいちいちするのはメンドクサイ
が、ご安心を
まず任意のトラック(右端のトラックがいいと思う)にPreSonusのVUメーターを放り込んでメーター窓を開く
プリセットは[ -18VU ]を選んでおく
メーター窓を開き、プリセットを選んだあとに、VUメーターを放り込んだトラック以外のトラック全てをSHIFT+クリックで選択状態にして、メーター窓を開いておいたVUメーターをドラッグして放り込んでやれば全てのトラックにメーラー窓の開いた状態でVUメーターを設置することが出来る
これで、ミキサーに入ってくる信号と出ていく信号のレベルを常時いつでも気になった時に、すぐ確認することが出来るようになりました(絶対この状態(トリムノブも含め)がデフォルトで用意されているべきやと思う)
PreSonus VUメーターの確認
VUメーターの設置で軽く流した(笑)プリセットのチョイス
余程の理由がなければ [ -18VU ] を選んでおくのがいいと思う
この設定をしておくと、VUメーターの針が0VU辺りを指したとき、Peak/RMS メーターが-18dB 辺りの信号が流れることになる
これをDAWに録音する信号の基準値とする
こうすることでおおよそインサートスロットやマスタートラックに差し込むアナログ機材をモデリングした各種プラグインの想定している信号量となり、本来の効果を期待することが出来るようになるのだ(…ハズw)
こうした信号の強弱を気にしたことがない人でプラグインエフェクトの効果に裏切られてきた人は、ぜひ一度試していただきたいと思う
この辺のことをもっと詳しく知りたい方は「DAW ゲインステージング」あたりのキーワードで検索していただければ詳しい情報が見つかると思います(ワシには理解不能な世界ですw)
厳密な理屈を理解できずとも、VUメーターの0VUを-18dBに合わせておくことで多少0VUを超えても多少(針が振り切らない程度)は大丈夫…という解釈で、全く無関心だった時よりは全然改善されている
ちなみに「VUメーターの針が0VU辺りを指したとき、Peak/RMS メーターが-18dB 辺りの信号が流れる…」ってのを一応確認してみましょう
まずはサイン波やノコギリ波といったシンプルな音を鳴らせるアナログシンセなどの音源を用意する(ここではスタジオ・ワン同梱のMojitoを[ Default ]プリセットで使用)
そこにVUメーターをプリセット [ -18VU ] の状態で挿す
次に用意した音源を[ B – 5 … 中央のド(C – 4)の2オクターブ上のドの左隣のシ ](ホントは1kHzが理想w)で超ロングトーンで鳴らす
VUメーターの針が0dBを指すように必ずトリムノブで調整する
(トリムノブの範囲を超えて調整が必要な場合は音源のボリュームを操作する←音源のボリュームは音色に影響する場合があるのでなるべくトリムノブを優先する)
VUメーターの針が0dBを指す状態になればフェーダー脇にあるPeak/RMS メーターは -18dB 辺りを指しているはずです
(指していない場合、各種設定の確認とVUメーター右下にある[ SENSITIVITY ] の操作で大方解決する…はず…そのためのプリセット [ -18VU ] なのだから)
この0VU = -18dB の状態を、インサートスロットにプラグインを挿したとしても狂わないように各プラグインの入出力レベルを調整するわけです
DAWのレコーダー部には -18dB 前後の信号で記録することを当たり前にする
そうすることで、その後、プラグインを変更するなどしてもアナログ機材のモデリングなのかどうか?などいちいち気にしなくてもよくなる
加えてヘッドルームに充分な余裕が生まれますので歪みにビクビクしなくてもいい(笑)
(これが出来ていないとスタジオ・ワンのステムミックスの吐き出しで意外とクリップに邪魔される)
この信号量にすると音量が小さくなることや、デジタルデータの記録量を有効に活かせないのでは?と思う人も少なくないでしょうが、それらのことよりもプラグインが本来の効能を発揮してくれないことの方が重大な不具合
音量はミックスダウンの後、改めて調整する方向に手順をシフトした方がいい
音量調整を最後に持っていっていないと、完成品として音量の違うファイルを書き出す度にミックスまで戻ることになり膨大な二度手間三度手間に泣かされることになる
(ストリーミングサービスだけを見ても規制音量が未だマチマチだったりする)
こんな音は機材の用法用量を守っていては産まれてこなかったでしょう
しかし、それはアーティストサイドの操作
アーティストは常識を超えた先にオリジナリティを見出すことも必要でしょう
しかし、DAWによる記録はエンジニアサイドの作業なのだ
エンジニアサイドは、アーティストが表現する音を正確に記録することが重要な作業
アーティストが常識を超えた上にエンジニアまでもが一緒になって常識(機材の用法用量)を無視していては、アーティストの表現が失われてしまう
なのでしっかり切り分けて作業しなければならないのだ…と思うw
まとめ
私自身、スタジオ・ワンを手に入れてからしばらくの間、気付かず気にせず作業しておりました
それでも、アカラサマな不具合に見舞われることはありませんでしたからいまさら気にしなくてもいいじゃないか…とも思う考え方もあるかもしれません
しかし、これがアナログ機材での作業だとすると、きっと接続する機材、エフェクターひとつひとつの信号入出力レベルを調整するはずです
だって、ひとつひとつの効果が判っているし、それぞれのパネルもそこに見えるのだから
しかし、DAWの中ってプラグインのパネルも見えなければなんならプリフェーダーレベルの確認がそもそもそこになかったりする
一定の効果を期待して挿入したはずのプラグインエフェクターなのに、その想定されている以上(もしくは以下)の信号を流し込んで、求める効果が得られるハズがないのだ
イレギュラーな操作から産まれる奇跡をいちいち期待して、間違いとされる使い方をするなんて、道具への冒涜に他ならない
だったらといって「理屈もきっちり理解しなければ使ってはいけないのか?」とは思いません
最低限、要点を踏まえて正しく使うことをまずは身に付ける
詳しい理屈は解らないけど、正しい使い方をマスターしていればやがてどんな操作をすればどんな効果が得られるのか?を把握することが出来るはず
そこが把握できた時、どこのノブを非常識に操作すればミラクルが起きそうか?何かに導かれると思うんですよね
闇雲にデタラメな操作をして誰もがミラクルを起こせる……そんな話、期待してちゃいかんでしょ?
曲作りに似ているのかもしれません
楽典を知らなくても曲は作れる
しかし、楽典を知っている方が有利な事が多い
だからといって大学に行き、楽典をマスターしないといい曲は創れないのか?といったらそんなことはない
そんな話を逆手に取って、理屈も楽器も抜きにして「名曲創るぜ!」なんて言ってる人がいたら「おいおいw」って思う人、少なくないと思う
ただ、理屈も楽器も抜きにしたとしても、何が名曲なのか?を突き詰める努力を重ね続けていれば、何か想定できない名曲が産まれるかもしれない
そんな屁理屈をDAWに置き換えるとするならば、物理学や電気工学などの理屈(楽典)やDAWやプラグインの操作方法(楽器及び周辺機材)をすっ飛ばして、「いい音ってなんだ!?」って追求を大真面目に突き詰められれば何かとんでもないサウンドを見つけられるかもしれませんね
何やら遠回りに見えても決して間違いとは言い切れないし、これが王道だ!といって正解と言い切れるわけでもない
だったらどうする?
天賦の才を信じて我が道を行くのか?
いや、ここままず先人の見つけてきた知恵を少しずつでも辿っていこうではないか
いや、何の話だ(笑)
まとめに入ってから話がとっ散らかり始めているではないかw
ここに記した内容が全て先人の知恵を網羅できているわけでもないし、ひょっとしたら間違いもあるかもしれない
ただ、それでも「確かにね…」とか「その方が効率的ね…」なんて思ってもらえることがあれば、どうぞ参考にしていただければ…と思います
長々と失礼いたしましたw
最後までご覧いただけてありがとうございます!
でわでわ