ART社製チューブ内蔵マイクプリアンプ・DIのTube MP/Cを入手しましたのでご紹介。
マイクで拾った音の信号を増幅してやるために必要なマイクプリにコンプレッサー・リミッターが搭載されたTubu MP/Cの使い勝手やその使用目的に触れてみますよ。
弾き語りすとやバンドのボーカリストには自分の声に責任を持っていただくためにもマイクプリアンプという道具に見を向けていただきたい。
ART Tube MP/C の音
それではさっそくMP/Cの音を聴いてみて下さい。
PM/Cの音…って、楽器じゃないんですけどね(笑)
手持ちのSM58をつないでしゃべってみました。(20分弱あります)
途中、オーディオインターフェースのUR RT 2 だけにしてみたり、UR RT 2 のマイクインにTube MP/Cを挿してみたりと音の違いを聴き比べていただけます。
じっくり繰り返し聴いてみたい!って方は下記リンクを右クリックしてDLして下さい。
(お願い…DLした音声ファイルは個人で視聴する以外の利用はおやめ下さい)
→ Tube MP/C に SM58をつないでしゃべってみた
Tube MP/Cの機能
MP/Cの機能に触れてみます。
プロントパネル
MP/Cのフロントパネルはこんな感じです。
インプットセクションはこんな感じです。
画像には写っておりませんが(笑)ゲインノブは0〜+40dBの範囲で調整できます。
更にスイッチによる切り替えで+20dBの増量が可能。
音声では触れそびれてしまいましたがハイパス・ローカットのフィルターをかませることもできます。
メーカーサイトには「-3dB @ 70Hz, 6dB/Octave」と書かれているのですがよく解りません(笑)
おそらく70Hzから下の帯域をいい感じに削ってくれるってことでしょう。
続いてコンプ・リミッターセクション。
<<訂正>>
音声の中ではコンプのレシオは2:1としゃべっていますが、メーカーサイトで確認しましたところ2.3:1と微妙に間違えておりました。
一応コンプ・リミッターの情報を引用しておきます。
アタックタイム <1 ms(リミッター)、20 ms(コンプ)
リリースタイム 150ms(高速)、20ms – 3sプログラム依存(自動)
レシオ 2:1(コンプ)/ 11:1(リミッター)
パネルにも書かれて(微妙にノブに隠れていますが…)いますが、コンプレッサーはオプトタイプ。
オプトコンプの特徴としてはアタックタイムが遅く、ナチュラルな効果を得ることが出来る…ということですので、ボーカルに使うのに適しているのかもしれません。
アウトプットセクションはレベルの増減と位相の切り替えだけなので省略します(笑)
TubeMP/Cを使う目的
そもそもどうしてコンプ付きのマイクプリを探していたか?ということなんですが、他人様のライブを観せてもらいに伺ったりしていますと、時々P.A.さんと意思の疎通が出来ていないのか、それとも他に何かしら理由のがあるのか、マイクで拾った声の扱いが雑に感じられる事が結構あったわけです。
人の声というのは様々な成分から構成されていて、それらの要素をマイクで拾い、増幅させると実に音量がバラけてくる。更に歯擦音など吐く息の擦れる音はナゼだか大げさにデフォルメされて耳障りに放出されてしまう。こうしたややこしい成分の話を抜きにしても、歌う音程によってささやくように歌うパートがあれば、腹の底から声を張り上げるパートが入り交ざって、均一な音量で歌い上げる…なんてことは至難の業。
そこで活用されるのがコンプ・リミッターといったダイナミクス系のエフェクター。
このエフェクターを巧く活用することで大きい音量になりがちなアタックの部分や耳障りな歯擦音を抑え込んでやることが出来、伴奏に埋もれてしまいそうな小さい声を持ち上げてやることが出来る。結果、聴いている側は安定した音量を維持した状態で聴きやすくなる…のだと私は考える。
そんな大事な調整をPAさんにお願いしても、毎度求める設定を決めてくれるとは限らない。
演奏する現場毎にマチマチの仕上がりで聴いてもらうことに違和感を感じる人はそんなに少ないのか?
専任のPAスタッフを連れて回れる環境になれるまでは、その部分を自分で管理しなければステージの完成度は不安定になる。
高校生バンドの文化祭ライブの演奏…ということであればボーカリストは練習に手ブラで行けるからいいなぁ…なんてことでもいいでしょう。
しかし、ある程度の志を持って、より多くの人に歌を聴いて欲しい!と思って様々な現場を訪れている演者さんが、マイクはもちろんお客さんに聴こえている声の仕上がりに関心を持てていないのだとしたら、こんなもったいないことはない。
今回、ご用意させていただいた音声ファイル内においても、コンプ・リミッターをオフにした状態の部分をそれなりの大きい音でヘッドフォンを使ってお聴きいただければ所々急な音量の増減による不快感を感じていただけると思います。
ヘッドフォンによる耳元の音でもそんな不快感があるというのに、ライブ会場の大音量に増幅された音声ではどれほどの音量の増減が生まれるのか。ちょっと意識してほしいな…なんて思うわけです。
プロが使うような本格的な機材を使わなくとも、今回試してみたお手頃価格なマイクプリを使うことで、自分の声をある程度手元で調整できる…というのはだいぶ便利だと思います。
今すぐに手に入れろ!ということは言いませんが、せめて自分の声がPAを通って、どのような音としてお客さんに届いているのか?ちょっと意識するきっかけにでもなってくれれば幸いです。
でわでわ