ヘッドフォン・イヤフォンで聴く音楽の真実

DTM

ヘッドフォン・イヤフォンで聴く音楽に適した状態なんて気にされたことあります?
「HPL2 Processor Plug-in」というプラグインが無料配布されていましたので試しに使ってみました。
この「HPL2 Processor Plug-in」というプラグイン、本来スピーカーで聴くことを想定してミックス&マスタリングされたであろう音源をヘッドホンで聴く際に、より適した状態に変換してくれる…というもの。

果たしてその実力とは!?

HPL2 Processor Plug-inとは?

割りと気軽に使い始めた「HPL2 Processor Plug-in」というプラグイン。これがなかなか衝撃的な変化をもたらしてくれたのでちょっとここでもご紹介。

衝撃…という言葉は言いすぎちゃうん(笑)的な気はしますが、それでもこのプラグインが一般的になってしまった時、音源制作の注意点がひとつふたつ増えてしまうんとちゃう?位には警戒が必要かと。


このつぶやきは今回のプラグイン配布元のアカウントによるもの。

中の人と思われる方のアカウントもある。
中の人と思われる方のツイッターアカウント

どうやら臨場感ある立体音場や前後左右上下の3D音像移動立体音響のリーディングカンパニー株式会社アコースティックフィールドさんの中のプロジェクトのひとつの様子。

で、中のエンジニアさんのつぶやきによると、この「HPL2 Processor Plug-in」がNetAudio誌vol.29で取り上げられているらしい。

ということで、買ってきましたよ(笑)

まずはライターズセレクションという企画の中で鈴木 裕さんというオーディオ評論家の方がセレクト。

そしていよいよ140ページより見開き特集を先程の鈴木 裕さんによって詳しく紹介されている。

鈴木 裕さんによる知識と経験に裏打ちされた詳しいレビューはNet Audio vol.29を購入していただくとして(笑)ここではわたくしの言葉でお付き合い頂きます。

HPL2 Processor Plug-inの効果

で、「HPL2 Processor Plug-in」というプラグインとは、どんな効果をもたらしてくれるのか?

手元のDAWで比較しながら聴いてみましたが、パッと聴いた印象は随分と高音域と音圧を削られる印象。もう少し用心深く聴いてみると、楽器などの定位が変わっている。気がつけば明らかに定位に変化が出ている。音源を再生しながらHPL2プラグインをかけたり切ったりするとよく判る。

ここで、とある曲(画像をよく見ると判るんですけどCHAIさんの「N.E.O」ですw)を適用前後で視覚的に確認してみようとアナライザーで表示。
このアナライザーは人間の聴覚特性に基づく52/68バンドのアナライザーが、ステレオポジション、周波数分布、ピーク/RMSレベルをリアルタイムに表示してくれるというスグレモノ。
上半分の枠内に表示されているオレンジ色の折れ線に注目してください。

2つの画像が横並びに表示されていましたら左側が素の音源。右側が「HPL2 Processor Plug-in」適用後の音源を
2つの画像が縦に表示されていましたら上の画像が素の音源、下が「HPL2 Processor Plug-in」適用後の音源を最後まで通して聴いた時の各周波数帯域最大値を記録したグラフになります。

ちなみに黄色い線は画像を写った瞬間にかかっている音源のグラフなのでここではスルーしてください。

で、左の画像のオレンジ色の線は枠の上辺に突き刺さっている。

右の画像はギリギリ突き刺さるかしないか?程度のところ。

これはつまり第一印象で感じた高音域が削られた…と感じた以上にまんべんなく各周波数の最大音量が抑えられていると捉えられる。低音域も削られているらしいところから同じく第一印象で感じた音圧感が削られた様に感じた点にもつながると考えて良さそう。

また、先程のアナライザー下段の枠は、「ステレオポジションディスプレイ」という名前で、ステレオ空間でのオーディオ信号のエネルギー分布を表示してくれている。この窓の中で逆相の成分も表示されているので、はじめは判りにくいが、半円状にオレンジ色の線で左右と真ん中の3つのグループに分かれていますが、この左右の枠が逆相の表示。

で、真ん中の枠がステレオ空間のエネルギー分布の表示とのこと。微妙で判りにくいかも…ですが、このステレオ空間の分布もHLP2プラグインを掛ける前より掛けたあとのほうがわずかに狭くなっている。(オレンジ色の線の枠の中にある白っぽいところはその瞬間のリアルタイムな表示ですので、この部分は比較しないでください)つまり定位(両耳から聴こえてくる音像の中の楽器の聴こえてくる位置)にも変化が加えられたと考えていいと思う。

これだと、昔から気になっていたビートルズ辺りの楽器の音を片耳に寄せるミックス(伝わったかなw)も少しは楽しめるようになるかも。

プラグイン配布サイトの解説(←リンク先は音声が自動再生されます-音量注意!)によりますとヘッドフォンで音楽を聴くのは元々前方にあるスピーカーを、真横に置いて聴いているようなもの。その状態で音楽を聴いても本来制作サイドが意図した音像を再現しているとはいえない。なので、ヘッドフォンで聴く用のミックスを用意すべきなんじゃない?でもそれは現状現実的じゃないからこんなのを作ってみましたよ!ってのが「HPL2 Processor Plug-in」というプラグイン。

最近読み込んでいた「とーくばっく」の中で紹介されていたラウドネス規格による音量の矯正とは違い、この「HPL2 Processor Plug-in」は、先程のグラフから読み取るに何かしらの複雑な加工が施されている模様。

ちなみに、音圧の視覚的比較でよくみる波形も並べてみましょう。

縦に4本の波形が並んでいます。それぞれ上段2本で一組、下段で一組のステレオ音源。

で、上段一組がプラグイン適用前で下段一組が適用後。

「とーくばっく」という本の中で懸念されていた音量の強制的な矯正が適用されると、極端な例ですがこんな画像になる。

この波形を言葉にすれば、単純に音量レベルを抑えられただけ。

せっかく音圧マシマシにマスタリングしたのに、再生環境(テレビやラジオなどの放送やYOUTUBE、iTunesなどのメディアプレイヤーなどなど)の方で勝手に音量を抑えられたんじゃ、制作サイドの意向がリスナーまで届きやしない云々のお話はまた別の話題となりますのでここでは割愛させていただきます。
(「とーくばっく」の元ネタが記されている「収録の話」のページなどなかなかのボリュームですよ)

しかし、「HPL2 Processor Plug-in」適用後の波形はまるでリミッター/マキシマイザーを解除してしまったようにギザギザが戻っている。

波形の太い細いはざっくりと言えば音量の大小にシンクロしていると思っていい(ホントにざっくりとねw)ので、HPL2プラグインをかけると、楽曲に抑揚が加えられたような効果を持っていると思われる。

つまり「HPL2 Processor Plug-in」はヘッドフォンから聴こえてくれる音像をスピーカーから聴いている時のイメージに近づけるため、定位だけをズラしているだけではなく、イコライザー的な作用も加えて音像を再構築してくれているくらいの効果をもたらしてくれているのかもしれない。

今回はこの辺でおしまい。
もうちょっと書きたかったことがありましたので、続きは後日。

気になった方は下記ページからダウンロードが出来ますが、あくまでもプラグインソフトなのでホストアプリ(VSTなどのプラグインが使えるDAWソフトやメディアプレイヤー)が必要です。

また、「HPL2 Processor Plug-in」を使用して加工した音源を公開する際には、表記義務が発生しますので必ず同じページでダウンロード出来るマニュアルにも目を通してください。

「HPL2 Processor Plug-in」ダウンロードページ

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