ギター/ベースアンプシミュレータのOverloudからキャビネットに特化したIRプロセッサーが登場
TH-U Fullライセンスをお持ちの方には無料アップデートで追加された…とのことなので早速チェック
すでにRig PlayerやCabinet IRがありましたが、わざわざ別にした価値を感じられるでしょうか?
新登場のスーパーキャビネットは、アンプシミュレータのTH−Uの中に組み込まれるコンポーネント
Overloudのサイトでは個別に販売されているが、これだけを購入しても使えないので注意
その場合、次のTH-Uモデルが付属しています。
- Rig Player
- Darkface ’65 – Amp (based on an American Twin*)
- Rock ’75 – Amp (based on a British 800)
- Modern CH3 – Amp (Recto)
- 1×12 Clst UK – Cabinet
- 2×12 OB Green (UK) – Cabinet
- 4×12 Modern (US) – Cabinet
- SDrive One – Distortion Pedal
- D-Delay
- D-Reverb
- CHR-2
- Parametric EQ
- Noise Gate
RigやIRを使った音作りに絞る……という振り切った考え方をするならばスーパーキャビネットのみを買うのもあり
→ SuperCabinet / Overloud
ただし(繰り返しますが)TH-U Fullライセンスをお持ちの方には無料アップデートで追加されているので、最新版にアップデートすればコンポーネンツカラムにスーパーキャビネットがシレッと追加されている
つまり、TH-U Full未満グレードのライセンス対応のための販売か?と思われます
(これから新たにTH−Uを購入する場合、プレミアムエディションにのみスーパーキャビネットは内包されている様子…下位エディションにスーパーキャビネットは含まれないようなので新規ご購入の際は各販売ページでしっかり確認して下さい)
コンポーネンツカラム内の配置が変更できないので、探すのがメンドクサ……と思っておりましたら、左側にあるプリセットカラムの方にスーパーキャビネットのプリセットが追加されていて、スーパーキャビネットを使った音作りはここから始めると便利かも
スーパーキャビネットのパネルを見ていきましょう
中央のメインカラムにスーパーキャビネットが配置された状態で、スーパーキャビネットのキャビネット画像をダブルクリックしますと、Overloudでは珍しく(笑)ハイカラな印象を受けるパネルが開きます
スーパーキャビネットのパネルがこちら
通常モードでは左上の部分に4段のスロットがあり、ここで操作するIRを選択します
もう一つのモード>>XOVER(クロスオーバー?エックスオーバー?)では、このスロットが3段になります
ちなみに……
通常モードではIRを4つフルレンジで同時に鳴らすタイプで、XOVERモードでは3つのIRをそれぞれ高・中・低音域に役割分担(フィルターをかける的な?多分w)して同時に鳴らすタイプ……だと思います(笑)
どちらのモードにもパンを振ることが出来るのでワイドに音像を広げられる(ダブリング効果はない)が、XOVERモードでパンを振りすぎると少々個性的な雰囲気になってしまうので程々の幅にするか、狙いを持って振り切るようにしたほうが良さげ(ワシはやらんな)
次にパネル右上
ここでライブラリの入れ替えや、IRの組み合わせを行う
上↑の画像では青枠で囲った一番上のスロットが選択されていて、その内容が黄枠内に表示されています
右カラム上部[LIVERARY]表記の下にあるIR名をクリックしますと、入れ替え可能なIRリストが表示されます
リストを見て「ライブラリ……3つだけ?」と思ったあなた……チョット待ってあげて下さい
これには事情があるのです(笑)
このスーパーキャビネットのライブラリには、なかなか大量のIRが含まれているのだから
Dr.Z2x12
このDr.Z2x12ひとつのライブラリには……
スピーカー2種類 ✕ マイク18本 ✕ ポジション4種類 = 144
そして、画像には写っていませんがマイクの角度が2種類(垂直 or 45度)とキャビネットとマイクの距離が2種類で先程の144✕4で576種類のIRが収録されている
Friedman BE412
続いてFriedman BE412のライブラリには……
パワーアンプ2種類 ✕ マイク17本 ✕ ポジション4種類 = 136
そして、Dr.Z2x12同様マイクの角度が2種類とキャビネットとマイクの距離が2種類で先程の136✕4で544種類のIRが収録されている
Simms Watts
そしてSimms WattsにもFriedman BE412と同じ組み合わせで544種類のIRが収録されている
つまり、初期状態のスーパーキャビネットには3ライブラリーで計1,664種類のIRが含まれていることになる
(メーカーページには1,728種類と書かれていますがワシの手元では現段階この数字でした)
これらライブラリの別売りが1つのキャビネットで€29(セール価格€19)
で、スーパーキャビネット単体価格が€79(セール価格€49)なのだから、妥当なプリインストールと言ってあげて欲しい
(ホンネはやっぱりライブラリもう1〜2つあると嬉しいw)
別売りライブラリに含まれるIRの正味の本数や選択できる項目はライブラリ毎に違いがあるようなので、実際のところはメーカーサイトでご確認下さい
→ SuperCabinetIRライブラリ|Overloud
続いて、右下にあるスピーカユニット画像について
ここではマイクの設置を調整します
スピーカユニットの中央付近にあるオレンジの丸がマイクで集音するポイント(Position)になります
Positionは、IRのチョイスするプルダウンメニューでも選択可能でしたが、スピーカユニットの画像をクリックすることでも選択可能で連動してくれます
スピーカー画像の左側にあるのがマイクの角度設定
スピーカーユニットに対して真っ直ぐか、45度の傾斜と切り替えられます
見た目、シームレスにスライド出来そうですが、正面か45度の二段階切り替えです
ON AXIS:マイクがスピーカーユニットに対して真正面に設置
OFF AXIS:マイクがスピーカーユニットの正面に対して45度傾斜
オン・オフの切り替えに応じてスライダーの左側にあるオレンジの丸マークが変化します
同様にスピーカー画像の中央にある丸マークも微妙に変化して、現在の角度が確かめられます
AXISスライダーの横にある丸マークは、よく見るとマイクの指向性を表す画像になっていて、マイクの指向性に合わせて画像も変化します
CARDIOID
カーディオイド (Cardioid): 単一指向性パターンの中で最も一般的なタイプ
マイクの正面から来る音に対して感度がよく、背面から来る音に対して感度が最も低くなる
音を拾う角度が広いことで動きのあるマイキング(ボーカリストのハンドマイクなど)や、複数人に対して使うことも可能(可能な限りマイクの正面に集まるべき)
ハウリング除去効果も優れている
OMNI
無指向性 (Omunidirectional) : 全ての方向から同じ感度で収音が可能
テーブルの真ん中にマイクを立て、その周りを囲うように座って話す声を均等に集音出来る
反面ハウリングには弱い
FIGURE8
双指向性(Bidirectional) : マイク正面と背面からの集音に優れ、側面からの音に対しては感度が落ちる
向かい合って座る2人の間にこのマイク1本でまとめて集音するのに使える
背面からノイズが入らない環境であれば、集音角度が狭いため、正面の音源のみに集中して拾い上げることも可能
スピーカー画像の右側にあるスライダーはマイクとスピーカーとの距離の切り替え
スーパーキャビネットに収録されているIRの組み合わせの中では見つけられませんでしたが、マニュアルによりますと[ CLOSE / NEARBY / FAR ]の3種類のうち2段階(組み合わせ不明)での切り替えとなるそうです
CLOSE(接近) / NEARBY(近距離) / FAR(遠距離) となると思うのですが、CLOSEよりもNEARBYの時の方がスピーカー中心近くにあるマイクの位置を表すオレンジの丸マークは小さくなっています(マイクの影ってこと?)
中央最下段にある[Library/User]を操作することで、ディレクトリを切り替えることが出来、手持ちのIRを利用することが可能
ここから元々収録されていたCabinet IRのIRや、手持ちのIRも混合して利用することが出来る
右側最下段にある4つのノブは、各ライブラリ個別に効果のあるフィルターとディレイ・ステレオの設定を行う
左から2つのフィルターはいいとして、ディレイとステレオは少々不明
マニュアルを見てみると…
HPF: a High Pass Filter, used to attenuate the low frequency harmonics.
LPF: a Low Pass Filter, used to attenuate the high frequency harmonics.
DELAY: used to introduce a delay for this IR, which is useful when you are correcting phase issues.
STEREO: used to introduce a delay between the left and the right channels, resulting in a widening of the overall stereo image.
HPF:ハイパスフィルター、低周波の高調波を減衰させるために使用される。
LPF:ローパスフィルターで、高音域の倍音を減衰させます。
DELAY:このIRにディレイ(遅延)を導入するために使用します。これは、位相の問題を修正するときに役立ちます。
STEREO:左チャンネルと右チャンネルの間にディレイを導入し、全体のステレオイメージを広げるために使用します。Translated by DeepL
TH-U 1.4 Manual.pdfより
ディレイはいわゆるダブリングややまびこのディレイ効果ではなく、位相ズレを修正するための遅延をコントロールするパラメータの様子
ステレオノブは、センターが0となっており左がマイナス、右がプラス
このステレオノブを回すことで、1つのキャビネットライブラリしか使っていなくてもステレオ感を作り出してくれる
(取説の記述を踏まえるとダブリングによるスプリット的な効果と思われる……知らんけどw)
ノブを左(マイナス)に回すと左右の音が逆になるのだと思う……多分w
周波数グラフ
パネル左下にはアナライザ的なグラフが表示されているが、これはリアルタイムに表示されるようなアナライザではなく、差し込まれたIRの最終的な周波数分布を表示したグラフが左右計2本のラインで表示されるもの
マニュアルには、カーブがdB/Freqレンジ内に収まるようにレベルやパンを調整するのに便利です。
とあります
耳で聴いてかっこよければいいのでしょうが、長時間続けていると耳がバカになりますので、ここで客観的に確認して参考にさせていただきましょう
周波数グラフの右側にある[LEFT][RIGHT]のボタンで表示・非表示の切り替えが出来る他、マウスポインタをボタン上に持っていくと表示されている線の色が変わる
(マウスポインタが写っていませんが[LEFT]の上に置いてますw)
右側だけを表示
両方消しました
EQ
パネル左下には2バンドのパラメトリックEQが配置されています
FREQ 1 : 40Hz〜5kHz
FREQ 2 : 200Hz〜20kHz
Q 1 : L-Shelf 0.20〜19.99 HPF
Q 2 : H-Shelf 0.20〜20.00 LPF
LEVEL : -18-dB〜0〜18dB
EXPORT
LEVELコントロールの下にあるEXPORTボタンで、IRをwavファイルにエクスポートできる
エクスポートされたwavファイルは、他ののソフトウェアアプリケーションで使用することが可能
また、エクスポートされたwavファイルは、IRベースのハードウェアデジタルアンプでも使用することもできる……らしい(笑)
以下、準備中