新発売になったUR-RTシリーズには、DSP機能が搭載されています。
Universal AudioのAppoloシリーズ等でお馴染みのUAD2辺りは、絶賛される評判をあちこちでみかけます。
UR-RTシリーズに搭載されているDSP機能及びプラグインはいかがななものでしょう?
DSPとは?
宅録・DTM界隈でいうところの「DSP」というのは、録音や編集を行っているパソコンのCPUに依存することなく、外部に処理するための回路…デジタルシグナルプロセッサを指している。
この外部回路の方でプラグインエフェクトの処理を行うため、DAWを起動しているパソコンの方ではその分の負担を負うことなく処理ができる。そのため、より多くのエフェクターを使えたり…チャキチャキ作業ができる…などの利点がある。
また、最近では冒頭でも紹介しましたがUAD2に準じたプラグインに相当の評判が集まっており、そのエフェクターを使うためにはUAD2の規格に準じたDSPの搭載された機器を接続する必要がある。つまり、ひと言に「こいつにはDSPが搭載されている!」からといって、規格がマッチしてなければ使えないエフェクトがある。
という点を踏まえてUR−RTに搭載されたDSPおよびプラグインエフェクトを見ていきましょう。
UR−RTシリーズのDSPとエフェクト
UR−RTシリーズのDSP
UR−RTシリーズにも、DSP回路が搭載されている。しかし、この回路はYAMAHAもしくはsteinbergによる独自規格であるため、UAD2のプラグインエフェクトは使用不可。UR−RTに同梱されているエフェクターの中から使いたいものを選ぶことになる。
UR−RT2購入直後に同梱されているCD−ROMからインストールしたツールの中に「dspMixFx」アプリが含まれている。
Mac用はこんなアイコンがアプリケーションフォルダに追加される。
アプリケーションを起動すると、ミキサー画面が表示され、各チャンネルの設定がすぐに可能になる。
DAWソフトをある程度操作したことのある方であれば、どんな操作ができるのかなんとなく当たりがつくと思う。
詳しい使い方については、ここでは割愛させていただきますので「そこが知りたいねん!」という方はスリープフリークスさんのところにかなり詳しく解説されてありますのでそちらをご覧ください。
続いてUR−RT内DSPで使用できるエフェクターについて触れてみます。
このDSPで使用できるエフェクターはコンプ、EQ、リバーブ、アンプシミュレータの4種類。そのうちコンプレッサーとEQはチャンネルストリップとしてひとつにまとめられています。
このチャンネルストリップとアンプシミュレータはモニターの返しだけに掛ける方法と、UR−RTからDAWへ流し込むオーディオ信号に掛けた状態で出力させて掛け録りする方法のどちらかを選択可能。
ただし、リバーブのみモニターへの返しにしか使用できず、リバーブ効果はDAWで録音することが出来ない。
もうひとつ残念なのがチャンネルストリップとアンプシミュレータを同時に使用することも出来ない様子。この点については未確認で、何か方法があるかもしれません。いや、無理でしょうwもしもこれで出来るのだとしたら、ちょっとUIを工夫してくれw(正直なところ、UIについてはもう少しテコ入れして欲しい気もします。パッと見、ちょっと古っぽい印象を受けますよね?)
では、それらエフェクターを個別に見てみましょう。
チャンネルストリップ-コンプ&EQ
左側にコンプレッサー、右側にイコライザーが表示されています。それぞれある程度の項目はUIに記されていますので、コンプレッサーやEQのプラグインを使ったことがある人ならすんなり利用できるかと思います。
もっと詳しい使い方が知りたいんじゃ!って方は、スリープフリークスさんのところが参考になります(笑)
リバーブ
このリバーブのみ、マスタートラックでしか選択できません。また、DAWへリバーブ効果を送る事もできないため、掛け録りが出来ない。ボーカルを録音する時に気持ちよく歌ってもらうために、ボーカリストのヘッドフォンへ返してやる音にだけ掛けられるリバーブとなります。
「ホール」「ルーム」「プレート」と3種類から選ぶことが可能。
ただ、このリバーブがめっちゃ気に入ったからどうしても使いたいねん!という方は、掛け録りは出来ませんが、VST3に準じた規格でプラグインが用意されていますので、後掛け…という方法で妥協して下さい。
VST3のみとなりますので、DAWの方で使えない場合はこのリバーブの録音への利用は諦めて下さい。
更に突っ込んだ解説は例によってスリープフリークスさんへ丸投げ(笑)
アンプシミュレータ
ギターアンプシミュレーターはトーン別に4つのモデルが用意されています。ただし、「クリーン」モデルにもディストーションノブが用意されていますので、結局の所4つすべてのアンプでクリーンから歪んだ音色まで幅広く音作りが可能になっています。
それでは4つのアンプモデル別に、ほんのひとパターンではありますが試し聴き音源を、過去に公開しているリフネタページより、アンプモデルを差し替えて用意させていただきました。
クリーン
クランチ
ドライブ
このアンプモデルではこのタイプの他にも合わせて6種類のタイプを選択できるのですが、どうもどのタイプもブリブリ感が苦手な感じですw
上の音源だと、そのブリブリ感が判りにくいので、単音弾きの音源も置いておきます。(リフネタページにある既公開分からですw)
単音弾きの音源
リード
こちらもDriveモデル同様、ブリブリ感が気になります。(わたくしの好みではない…ってだけで、決してディスっているわけではありませんw)
単音弾きの音源
まとめ
UR−RTシリーズに搭載されているDSPについては、独自規格となっていますので、同梱されているプラグインエフェクター以外は利用することが出来ません。恐らく、UAD2のプラグインを動かせるDSP程のパワーを持ち合わせておらんのかもしれませんね。勝手な想像ですがw
ただ、ギターの録音の際、コンプレッサーの掛け録りはやりたかったので、それだけでも非常に楽しみではあります。
アンプシミュレータについては、個人的な好みとは噛み合いませんでしたので、もしかするとエフェクターの掛け過ぎでギターのトラックを追加したいけどレイテンシーがひどくて厳しいwって時に、ペラペラのプレーンな音色よりはマシかな?って事でお世話になるかもしれません(笑)
コンプレッサーやEQもまだ全然使い込んでおりませんので、実際のところどんな感じなのか?は判りませんが、じっくり試してみたいと思います。
ところで、このUIはホントリニューアルしてくれへんやろかw
WAVESのプラグインも古いものはそんな声が上がっているし、実際L1辺りはUIがリニューアルされましたもんね。
あとは、ミキサー画面での自由度ももうちょいなんとかして欲しいけど、この辺はハードとの兼ね合いがあるんでしょうか?ソフト内でなんとかなるのであれば改善リクエストをここに一票置いておきます!って、きっとメーカーさんにはここからでは届かないでしょうけど(笑)