steingerg UR-RT2に搭載されたRupert Neve Designs トランスフォーマーの効果を聴き比べてみよう!というお話です。
Shure SM-58を2本、UR-RT2に挿し、片方はそのまま収録。もう片方はNEVE製トランスをオンにして、その違いを聴き比べてみましょう!
サンプルは…私の声(笑)
この聴き比べのために恥を忍んで挑戦してみました!
セッティングはUR-RT2にShure SM-58を直挿し。
UT-RT2のトランスフォーマーは片方のチャンネルだけをオンに。
UR-RT2から出力された信号はUSBケーブルを通してMacBookProへ。
MacBookProの方では、StudioOne4を起動させて収録。
サンプリングレートにつきましては16bit/44.1kHzで行い、録音された音声をmp3(16bit/320kbps)で出力し、ここに貼り付けています。
それでは早速、私のおしゃべりを聴いてやって下さいw
音声の聴き比べ
これからお聞きいただく音声は、全て同じ内容となっています。
なぜなら、聴き比べていただく対象が音(声)そのものだから。
内容が変わってしまうと、発音する言葉も違ってきますので聴き比べには適さないと判断いたしました。
また、極力音色の変化を避けるため、まずはエフェクターを全く使わずに収録された音だけを聴き比べていただきます。
そのため、ヒスノイズや室内の騒音、またクチの動きによるノイズや鼻息などもそのまま含まれております。予めご容赦下さい。
それでは、まず1本目。
(音量が少々小さくなっていますのでお手元で調整して下さい…-29LUFS)
続いて2本目。
どうでしょう?違いは感じ取れましたでしょうか?
私は、2本目の方が、やや低域の削れた印象を受けましたがいかがでしょう?
特にEQ等によるローのカットなどは行っていませんし、もちろんミドル・トレブルをブーストしているわけでもない。ただ、トランスフォーマーのスイッチをオンにしただけでこの違いです。
この違いを大きいと取るか、小さいと取るか…という辺りでこのUR-RTシリーズの必要性は大きく判れてくるかと思います。
今回の聴き比べは私の声だけですので、女の人の声だったり、マイクで収録する他の楽器だったりすることでまた違いが生まれるかもしれませんが、取り急ぎ”声”という素材に対してはこの程度の違いを生んでくれます。
たしかに音の違いは存在していますが、それが優劣を分ける…という事にはならないと思います。
どちらの音がお好みか?
どちらの音が、目的に適しているか?という使い分けを行うことで、後からの処理に随分と差が生まれるのではないでしょうか?
ちょっとエフェクターをかけてみた
続いて、ちょっとエフェクターをかけてみた音声を聴いてみて下さい。
かけてみたエフェクターはこちらの2種類。
WavesのCLA-2AとPlugTec EQP1A。
どちらのチャンネルにも画像のままのセッティングで通しています。
ディエッサーなどは使っていませんので、元々含まれている歯擦音などはそのまま強調されているかもしれませんので、予めご容赦下さい。
それではまず1本目の音声にエフェクターをかけたものをお聞き下さい。
((注)先程より音量が大きくなっています…-18LUFS)
続いて、2本目の音声にエフェクターをかけたもの。
音量が大きくなってしまったことも影響しちゃうのですが、2本目の低音域がスッキリしたニュアンスはそのままにやや質感が強調された感じ…と言っていいのではないか?と思いますがいかがでしょう?
更にガッツリエフェクターをかけてみた
もうひとパターンいっときましょう(笑)
今度はiZotope Nectar3をかけてみました。
Nectar3には、だいたい同じあたりの音声をそれぞれに聴かせまして処理してもらっています。
ここでは割愛させていただきますが、設定には、さほど大きな違いは見られませんでした。
Nectar3については、バークリー音楽大学卒、ココ壱大好きロス在住ギタリストのTakeshiさんのブログが面白おかしく解説してくれています(笑)
→ iZotope Nectar 3 レビュー!入門編・完全版!|Malibu Sound Vibes
それでは聞いてみて下さい。
(また音量が小さくなっていますwボリューム調整して下さい…-28LUFS)
1本目にNectar3。
2本目にNectar3
3本目4本目の時と違い、Nectar3はずいぶんガッツリとコンプ(スレッショルド=-24db/レジオ=10:1)をかけてくれました。
またALMも有効になっています。
使われたエフェクターはどちらのトラックも5つ。
(EQ1,De-esser,EQ2,Compressor1,Reverb)
実はほんのりリバーブまでかれられちゃっていました(笑)
まとめ
結局最後までどちらにトランスフォーマーが有効になっているのを伏せてきましたが、あなたはどちらにかかっていると思われましたか?
実は偶数本目がトランスフォーマーオンになっています。
トランスの効いている方が、低音をやや抑え込んだ感じで収録されていると思います。
つまり、奇数本目の音声がYAMAHA D-Preの素の音…ということになります。
D-Pre素の音が決して物足りない…ということはない!という事も感じて頂けたのではないでしょうか?
要は使い分け。
ウェブラジオのように、音声のみのコンテンツであればトランスフォーマーを使わずにレンジの広い音で収録しておいたほうが、聴こえてくる声が寂しくないのではないでしょうか。
反面、楽器の中に混ぜるのであれば、低音域はスッキリさせておくほうが馴染みが良くなるので、その手間を省かせてくれるのはありがたいところかと。
また、6本目の音声では顕著に感じられましたがただローがカットされた…ということだけではなく、ミッド・ハイにある声の成分がグッと存在感を増しているのではないでしょうか。こうなれば、カラオケに埋もれにくい声として収録されるような気もします。
一応、ジッターの違いあたりはチンプンカンプンの、ポンコツなわたくしではありますが、このトランスフォーマーの効果は聴き分けられましたので、もしもどちらも”一緒に聴こえた…”なんて方がいらっしゃれば、視聴環境を見直されると改善が見られるかもしれません。それか集中力が足りていないか(笑)
最悪素材が悪い…なんて事もありえますので(笑)、購入を検討しているけど…なんて方は、サウンドデザイナーさんも比較音源を用意されていますから、そちらも試してみて下さい。
→ サウンド・デザイナー8月号別冊付録│SoundCloud